2012年 06月 04日
リラクゼーション「とけあい動作法」
福島県で被災したお子さんたちを集めて行った「みどりの東北元気キャンプ」のとき、キャンパーたちは全員「とけあい動作法」を身に付けてお子さんたちを迎えました。
宿泊を伴うキャンプですので、普段よりもお子さんは緊張や不安が増します。すると、身体の調子が悪くなることや、夜眠れなくなることが多くなります。
キャ ンプでは、夜寝る前や、お子さんが緊張しているとき、キャンパーたちが、とけあい動作法を積極的に使いました。とけあい動作法には、緊張感や不安を取り除 くリラクゼーション効果や、人間関係をより良くする効果があります。ですから、キャンプでは、子どもたちはすぐに、心地よい眠りを得ることができ、ハード なプログラムに臆することなく参加することができました。
とけあい動作法は、コツをつかめば日常生活に気軽に取り入れることができます。
とけあい動作法を開発した今野義孝先生は、「赤ちゃんから高齢者まで、障がい者から健常者まで、いつでもどこでもできる、誰にでも優しいユニバーサル・デザインの援助方法である」とおっしゃっています。
とけあい動作法は、手、肩、背中、足裏、足首、頭などに行います。家族で行えば、親子ともにストレスが緩和され、ご家族の親しみが増してきます。
親子で行う時には、まずは、親御さんが両手でお子さんの手を包み込むようにして行うと、お子さんは、早く心地よい感覚を覚えることができます。
〇手へのとけあい動作法の効果
私たちは、相手の手を両手で包みこむようにして「ピタ―」「フワー」と行います。
感覚をそこで掴んでもらうようにします。
心地よい距離を取りながら、お互いの信頼関係を得ることができます。
また、フワーという温かい感覚を得ることで、手に対する気付きを促す役割もします。
自傷や指いじり、手で頭を叩くというような行為を改善したという事例もあるくらいです。
手をリラックスすることで、手作業、ピアノの演奏がスムーズにいくようになったとの話もあります。
とけあい動作法を行う人は、肩たたきをするように、相手の後ろに回ります。
両肩に掌を置いて、掌全体で「ピタ―」「フワー」と言いながら力を入れるのと緩めるのを交互に行います。
肩こりは、ストレスの現れともいわれます。
肩は、心と身体の疲れがたまりやすい場所と言えるでしょう。
「肩がせまい」「肩の荷が降りた」というような言葉にも象徴されていますね。
肩をリラックスさせると、身体と心が解けてゆくのです。肩にこれを行っていると、相手の身体が掌の動きに沿って付いてくるようになります。
そうなると、相手がとてもリラックスしている証拠です。
5分ほどすると、頬がぽっぽとピンクになり、まるで温泉に入った後のようになります。
不思議と施行者の側も身体中が温かくなってきます。
〇足裏・足首のとけあい動作法の効果
横になってもらい、土踏まずに直角になるように掌を置き、足の裏を包み込みます。
そのまま「ピタ―」「フワー」と繰り返します。足首の場合は、アキレス腱に行います。
そのまま眠りに入ってしまうことがしばしばです。
足の裏へ行うことで、踏みしめる力が増すと言われています。
足の裏の緊張が取れると、しっかりと大地を踏みしめることが意識されるはずです。
呼吸法でもグラウンディング法で姿勢を整える方法を述べました。
良い姿勢は、心と身体の健康を保つためにも大切なことなのです。
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「とけあい動作法」の基本的な手順
① 援助者の掌全体を心地よく対象者の身体に当てます。
② 援助者の掌で対象者の身体を心地よく「ピタ―」と言い
ながら、4秒から5秒くらいの時間をかけてゆっくりと
押します。
押す圧の強さは、心地よく軽めの感じとします。
③ 援助者の掌を対象者の身体に密着したまま、「フワー」と
言いながら、5秒から6秒ほどかけてゆっくりと力を緩めます。
緩める時にも掌は、対象者の身体に心地よく密着していることが大切です。
「とけあい動作法」今野義孝 学苑社より
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イラスト提供 ふわふわ・り