世界一 心が温まるキャンプを福島県でやりたいと思う

  • みどりの東北元気プログラム活動報告ブログ
  • みどりの東北元気プログラム ホームページはこちら

外傷的体験を受けた心のケアの理論(7)恐さを乗り越える1

惨事ストレスに出会っても、それを外傷体験として一生持ち続けてしまう人と、そうではない人を分ける要因はさまざまです。

 

ただ、それを乗り越えたか、乗り越え切れていないかを見分けるのは、ある意味で簡単です。

 

後々になって、そのことを振り返ったときに、 

「懐かしいこととして語れる」のか、

二度と思いだしたくないし、誰にも語りたくない」と思うのか・・・と言う点です。

 

この違いを分けるものが「マステリー」です。

マステリーの最終目標は、次の通りです。

これは言うならば、「あの体験があったから、今がある」と思えることです。

 

大災害に遭ってしまってしばらく、何もできず無力で、役に立てた気がせず、自分はダメだと思っていたとしても仕方がないことです。恐怖と不安と辛い状況打ちひしがれてしまうこと、それが問題ではありません。

 

けれども、時間が経つうちに、たとえば、

「あれは仕方がなかった」「自分が悪いわけではない」

「あの場では精一杯のことをした」

「自分は価値がある人間だ」「生きていてよかった」

「自分は自分でもよいのだ」「自分は大切だ」

などと、思えるようになっていけば良いのです。

 

比較的スムーズに、できれば、それほどの時間が経過しないちに、このように思えるように手伝うこと

・・・それが「恐さを乗り越える」ことなのです。

 

そのために第一に必要なのは、不安や恐怖や嫌悪などの不快な感情と向き合うことです。

 

20世紀の行動科学では、不安や恐怖や嫌悪には、そのように恐さや不安を感じてしまう場面で、それに勝るリラックスや安心を与えれば良いと言われていました。もちろん、それでも不快感が下がります。それは確かです。そのことを証明するデータもたくさんあります。

 

しかし、惨事ストレスなどの外傷的な体験では、ただ、安心感を与えればそれで良いのかと言えば、それではダメなのです。

 

なぜなら、惨事ストレスなどの外傷的な体験は、同じ場面が目の前にありません。

苦しめられているのは、恐かったという体験の記憶で す。その恐さを思い出しているときに、それに勝る安心感を与えることができればよいのです。でも、安心している場面で、わざわざそれを思い出しはしませ ん。思い出すことも難しいほど、思い出すだに恐ろしく辛い記憶です。思い出せないのです。万一、思い出しても、頭の中の記憶イメージですので、別のイメー ジ世界に逃げ出しやすいのです。不快感が高まっときに、その記憶イメージから逃げると、不快感がかえって強く刻み込まれます。これが強い不安として残るの です。

 

 

しかし、安心感を与えるかどうかよりも、もっと大事なことがあることが21世紀に入ってから強調されるようになってきました。それは、 不快感を感じ続けていると、不快感は時間経過に伴って減少することです。その恐怖や不安が減少したという体験が大事であることが明らかになってきたのです。

 

嫌なことを思い出したのに、それが減ってきた体験を味合わせることなのです。辛くても、逃げ出さずに不快感と向かい合うと、そのイメージから逃げ出さなければ、それは確実に減っていくことを体験させることが大事なのです。その体験が、「それに耐えられる」「それを乗り越えることができる」との見通しを持てることに繋がります。このことが重要だと言われるようになったのです。

 

そのために必要なのは、そこで感じている不快感を正確に、「自分は○○と感じている」と意識化して、その辛い記憶に向き合えねばなりません。

そのために必要なことは、周囲が「そのように感じていても良い」と、しっかりと、そこで感じている不快な感情を是認することなのです。

 

周囲の人は、したがって、子どもが不快に感じているときに、その表情からその感情を読み取ります。そして、不快な感情を、言葉で表現するのを手伝います。

 

「何かいやな感じがするのかな」「恐いかな」

「心配かな」「いらいらするね」

「悲しいね」「つらそうな顔しているね」

 

との声かけが強調されるのは、そのためなのです。 

 

これができると、不快感の中で自分を見失わずに、不快感を感じ続ける土台ができるのです。

 

====

気になるお子さんがいらしたら、大震災と関連があるかどうかに関わらず、どうぞ、相談メールをいただければと思います。

soudan@u-gakugei.ac.jp(@は大文字ですので、小文字に変換してください)

詳しくは、
http://for-supporters.net/mailform_3.html
をご覧ください.

なお、この電子メール相談は、教師自身の相談にも応じております。大震災のことに関わらず、ご心配なことがありましたら、どうぞ、お気軽に教師のための電子メール相談としてご利用ください。

====

 

第一段階:安全感を高める:「安心のできる場の確保2」について

この夏、多くの避難所が閉鎖されました。

避難所から仮設住宅への移転や転居をきっかけに、孤独になってしまうことの問題点が指摘されています。これは阪神淡路大震災のときに得た教訓でもありました。

外傷体験に関わる研究では、孤独である場合ほど、先々で、心理的なトラブルを抱えやすいと言われています。孤独は、孤独になる個人の問題ではなく、孤独にしてしまう周囲の人の問題であるのかも知れません。

学校には、子どもの集団があります。学校の中で、集団の仲間に受け入れられ、認められることは、外傷体験を受けたお子さんには大きな意味があります。「自分は自分で良い」との感覚は、それを認めてもらえる仲間がいなければ得られないものだからなのです。

写真のお子さんが、この椅子を作りました。

表情を見せられなくて本当に残念です。思い切り「ドヤ顔」をしているのです。

この横では、ツリーハウスを力持ちの上級生がダイナミックに建てています。その横で、道具を借りながら、自分たちで椅子を作ろうと、2人は考えたわけです。扱う道具は、お兄ちゃん、お姉ちゃんと同じ。危険性も同じ。キャンプリーダーは、道具の危険性を伝えたら、後は、質問しない限りは、手も口も挟みません。

危ないことをしない限りは、時間を与え、試行錯誤を大事にします。

作り上げて、2人乗っても大丈夫というところが分かると、リーダーは喜びます。

「凄いの作ったなー」「子ども用だー」「大人が乗っても・・・お・・・大丈夫じゃん」

心理スタッフ2人がこの写真を眺めて、「どうりで。最終日に人が変わったように元気になったわけだー」

グループに付いていた心理スタッフは、「グループの中でも一番おとなしく静かだったこの2人、すごいものを作ったなと感嘆しました。多くのこどもたちが知らず知らずにこのキリン椅子にお世話になりくつろいでいました(*^_^*)」

人の役に立てたとの感覚も、人に自信を与える大きな要因になります

この話は、以下のブログでも触れました。

http://cocoro-care.net/wp/camp-report/479

一方、ターザンロープ。これは、ツリークライミングの横に設けられた企画です。

ツリークライミングをするには、体力的、技術的に難しいお子さん用です。でも、決して子ども扱いをしているわけではないのです。ロープの長さは長いので、地面を通過するときのスピードは生半可ではありません。

ある小学1年生のお子さんは、このスリルに惹かれたのでしょう。たて続けに数回繰り返してしまったので、疲れてしまい、自分の体重を支えられなくなってきてしまいました。「お休みしなさい」と勧めても、それでも「僕はやる」と半泣きをしながら、繰り返します。何度も何度も、途中で投げ出されてしまっていました。

その中で、何をするのも恐がりのお子さんがいました。発達障害と思われるお子さんだったのですが、仲間がこの遊びに興じる姿を見て、最後の方には、意を決して飛び乗りました。

それまで、そのお子さんの様子を見ていた支援者は、「まさか、これをするようになるとは・・・。このことだけでも、このキャンプをした甲斐がありました」と、後で語っていただきました。

この話は、以前のブログでも触れました。

http://cocoro-care.net/wp/camp-report/447

お子さんに合った課題を材料として用意し、お子さん自身が自らそれにとりくんで、それを越えていく瞬間を準備することが大事なのです。

課題が大掛かりで難しいからよく、課題が簡単で小ぶりだから質が劣るなどということはありません。

 

「それで良いから」と見守る目があること、その動きを逃さず、越えてた姿を見取り、的確に評価することが重要なのだと思います。そのときに、多くの仲間が、それを一緒に喜ぶことが出来れば良いのです。

それが、子どもに「失敗しても良い」「自分は自分でも良いのだ」という感覚を強めるのです。

避難所生活から、仮設住宅などへの転居が孤独を生みだすのだとすれば、そこで喪失するものは、周囲の人の承認です。喜びを分かち合えなくなってしまうことです。その結果、その場で安心していられなくなり、自信を失っていくことになります。そこに問題があると思います。

======

気になるお子さんがいらしたら、大震災と関連があるかどうかに関わらず、どうぞ、相談メールをいただければと思います。

soudan@u-gakugei.ac.jp(@は大文字ですので、小文字に変換してください)

詳しくは、

http://for-supporters.net/mailform_3.html

をご覧ください.

なお、この電子メール相談は、教師自身の相談にも応じております。大震災のことに関わらず、ご心配なことがありましたら、どうぞ、お気軽に教師のための電子メール相談としてご利用ください。

======

9月25日付 朝日新聞 朝刊 生活面 「みどりの東北元気キャンプ」が取り上げられました。

「挑戦通じて一歩前へ フクシマの子ら、キャンプでケア」
======リード文より(記者:佐々波幸子)======
不安や悩みを抱えた子どもは、どんなきっかけで、一歩をふみだせるのでしょうか。7月と8月、福島で開かれたキャンプで、料理やたき火に挑戦し、自信をつけた子どもたちの姿を見ました。小さな取り組みでも、周りのかかわり方で達成感につながるとのヒントになりそうです。

◆小さくても達成感を

キャンプの実行委員長の小林正幸・東京学芸大教授(教育臨床心理学)の話
このキャンプは、被災した子どもたちの心のケアが目的だった。先々の心的外傷後ストレス障害(PTSD)を未然に防ぐには、次の三つの段階が必要とされている。①安心・安全な環境②不安や怖さに向き合い、怖さを乗り越える③そこで得た達成感、安心感を日常に持って行くこと。
この三つの要素をキャンプに組み込んだ。怖さを自力で乗り越える体験は、カヌーや沢登りなど大がかりなものでなくてもいい。体調を崩して冒険的なプログラムに参加できなかった子どもも、できるかどうか不安な初めてのことに挑戦し、手がけた料理やたき火を周りの友達や大人が喜んでくれたことで達成感を味わった。
これは、教室に入れず、保健室など別室で過ごす不登校の子どもへの関わりに通じる。皆と一緒に過ごせなかった時間が、かえって価値ある時間になるよう、周りの大人が小さな進歩に目を留め、一緒に喜べるよう心がけたい。

********************

朝日新聞9月25日朝刊生活面

 

http://cocoro-care.net/wp/camp-report/411

関連エピソードは、上記にあります。

記者さんは、直接親御さん、お子さんにお会いしてインタビューをしていただきました。
元気になられたご様子を間接的にうかがえることができ、本当に嬉しいです。

 


ご参加のお子さんの親御さんからお礼のお手紙です(2)

★普段はインドアな息子。バスの窓から見えた顔は、緊張と不安で顔面蒼白。今まで見たことのない表情に、私も不安で心配で、たまらなくなりました。
しかし、4日後、笑顔でバスを降りてきたのを見て、本当にホッとしました。

★震災から一人で居ることができなくなり、余震のたびに青ざめた顔で外に飛び出すという行動が・・・そして、放射能・・・このままどうなってしまうのかとても心配でした。
でも、帰りのバスを降りたときの顔は満足感たっぷりのニコニコ顔。帰りの車の中では、くろこげさんに教えてもらった歌を歌ったり、キャンプのいろんな話をしてくれました。

★たくさんの初めてに挑戦して、そして親元を離れて4日間。なんとかやりきることができたことが、自信になったように思えます。きっと、がんばれた自分が嬉しかったんだと思います。

★沢登りが一番大変だったこと。朝の気温が5℃になって、すごく寒くてたまらなかったこと。ビストロは楽しかったけど、スペアリブは1つしか食べられず、残念だったこと。明るいうちに、水着でみんなで大きなお風呂にざぶんと入ったこと・・・。子どもたちよりも大人の方がお疲れになったのではないでしょうか?

★子どもは、この思い出のアルバムと、歌の本がとっても大事な宝物だと言っています。貴重な体験をさせてありがとうございました。

★これからも放射能と大きな問題をかかえて、この子たちは生きていかねばなりません。キャンプのスタッフの方に教えていただいた事を生かして、これから先、本人が頑張っていけたらと思います。

★今回のキャンプで、子どもにとってとても良い体験になりました。そして、とても幸運だったと思います。

★また、このような機会がありましたら、喜んで参加させていただきます。

★キャンプの実行委員の方々やスタッフの皆さん。お金等を提供していただいた皆さんには本当に感謝しています。いろいろ大変だと思いますが、また、このキャンプが行われたらいいなぁと思っています。

★来年、さ来年と、また、キャンプが開催され、元気に子どもが参加できることを願ってやみません。

ご参加のお子さんの親御さんからお礼のお手紙です(1)

多くの親御さんから、キャンプについて感謝のお手紙を数多くいただいております。
一部をご紹介します。

 

★娘がキャンプから帰ってきました。バスから降りるときに、とてもよい表情をしていました。笑顔で、私の元に来て、キャンプでお友達になった女の子と、手を振り挨拶している姿や、私にキャンプでの出来事を一生懸命話をしてくれている姿に、3泊4日の中で、娘の中に何か残る物があったのだろう・・・と感じることができました。

★今日4日ぶりに会うと、元気で、大きな怪我もなく、たくましくなってかえってきました。
「また行きたい」と言う言葉に、参加させて良かったと改めて思いました。本人の弾むように話すキャンプの話で、この4日間をどのように過ごしたのかを想像するだけですが、大人のスタッフの方々が、広い心で、子どもをとても大切に接してくれたことが分かります。

★子どもの元気で生き生きとした顔で、「とっても楽しかったよー!!」とたくさん話をしてくれる姿に、スタッフのご配慮や熱意を感じ、とても胸が熱くなりました。

★食事も充実。各プログラムも充実し、テレビがなくても、おやつがなくても、「そんな暇はなかった」と兄弟2人で口を揃えて言っていました。キャンプの記録をスケッチし、写真をいただけたことで、子どもの話を断片的につなげることができました。至れり尽くせりで本当に感謝しております。

★日記に添えられていた写真を見て、とても感動しました。娘がどのような経験をしてきたのかを写真で表情まで見ることができ、とても嬉しかったです。たくさんのお子さんが参加され、スケジュールも一杯の中、このような配慮をしていただいて、本当にありがとうございました。

★キャンプの思い出と寄せ書きは息子の大切な宝物になりました。

★心がこもったアルバム、チケットまで、何から何まで、ありがたく、ただ、頭が下がる思いです。

★子どもはこれからの日本にとって宝だと思っています。子どもたちのためのプログラムが、一般の組織で無料で3泊4日実施されたのですよね。活動のための資金が、多くの趣旨賛同者から出資によっているとかですよね。子どもは宝だと思っている方々の支援だったと思います。感謝しても仕切れません。

★洗濯物は干す場所が無くなりましたが、苦痛ではありませんでした。むしろ幸せを感じました。どうぞ、子どもたちを支援してくださったスタッフの皆さまにもよろしくお伝えください。そしてご自愛を。