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外傷的体験を受けた心のケアの理論(14)日常・将来への安全性を高める4

キャンプの一大イベントは、キャンプファイアーです。

こ れは「親睦の火」や「儀式の火」とも呼ばれる親睦の儀式であると言います。学校のキャンプファイアーであれば、学校に戻った後の人間関係に生かしていける ようなプログラムにしていく必要があるでしょう。そのために、キャンプで形成された人間関係を、より一体感のあるものにすることを目的にするでしょう。

 

しかし、みどりの東北元気キャンプのキャンプファイアーは違いました

以前、ブログに記載したことですが、このキャンプでは、「日常・将来への安全性を高める」ために、上手な別れを作りだす必要がありました。

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なぜなら、被災したお子さんの多くはさまざまな別れに傷ついています。死別、離別、故郷との別れ、家との別れ、学びなれた学校との別れです。

 

キャンプの中で、訳もなく泣きだすお子さんは、少なからずいました。心を占めていた感情は、寂しさ、悲しさであったはずです。思い出されているのは、失われた関係のことであったはずなのです

 

心のケアキャンプでのキャンプファイアーの目的は、キャンプの中で体験したことを振り返り、そのさまざまな体験の意味を記憶の中に留めること・・・そして、明日は、この異空間での体験が終わり、これまでの日常の生活の場に戻っていくことを意識すること・・・別れを予感し、寂しさや別離を儀式として共有することがこのキャンプファイアーで重要なことなのです。

 

別れを覚悟し、時間を惜しみ、悲しがること・・・大事なのはこの時間です。別れがトラウマになるのは、この時間を十分に与えられないことから起きてします。惨事ストレスが、残された者に残すトラウマは、その別れを予感し、覚悟し、互いがその関係の終焉を残念がり、惜しむことができなかったことによります。

 

残念なことに、人は別れねばなりません。どれほど素晴らしい時間を過ごしていても、いずれ、それには終わりが来ます。それを予感し、覚悟するのがキャンプファイアーです。そして、別れを惜しむのは、翌日のお別れパーティです。

 

ですから、最後のお別れの時間は、涙、涙で迎えねばなりません

キャ ンプで味わった至極の体験の記憶と向き合い、それを共有した仲間や大人たちとの別れを惜しむのです。その寂しさと悲しさをしみじみと共有します。一人で寂しさに膝を抱えるのではなく、互いがしっかりと別れを涙を流しながら、その悲しみと寂しさを共有することが、寂しさや悲しみを悪い記憶にしていかないために必要なことになるのです。

 

その瞬間、お子さんたちは、ひょっとすると、自分が最近に味わった様々な辛い別離の記憶を思い出すかも知れません。しかし、今ここで起きる別れの意味を、価値あるものにしていくならば、先々に別れることへの脅威が緩和されるのです。このことが、日常・将来への安全性を高めることに繋がるのです。

 

トラウマの修復のプロセスのために、別れを良質なものにすること、これが心のケアキャンプの質を決定すると思います。

 

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気になるお子さんがいらしたら、大震災と関連があるかどうかに関わらず、どうぞ、相談メールをいただければと思います。

soudan@u-gakugei.ac.jp(@は大文字ですので、小文字に変換してください)

詳しくは、

http://for-supporters.net/mailform_3.html
をご覧ください.

なお、この電子メール相談は、教師自身の相談にも応じております。大震災のことに関わらず、ご心配なことがありましたら、どうぞ、お気軽に教師のための電子メール相談としてご利用ください。

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外傷的体験を受けた心のケアの理論(13)日常・将来への安全性を高める3


このキャンプで一番、苦心をしたのは、初日から最終日のこの作品の制作に向かう道筋です。これが「日常・将来への安全性を高める」ことの一番大きな企画でした。

 

この流れには2つの方向性があります。一つは、キャンプで写真を貼り付けたアルバムが果たしたこと同じように、キャンプの中で作り上げた作品が、先々の時間からキャンプを振り返る道具となるようにとする部分です。

 

もう一つは、未来への希望や夢と繋げていく流れを作る方向です。

これが、以前に触れた「このようにあったら良い」と思えるイメージを持たせることです。

しかし、このイメージは、現実から遊離したものではいけません、夢想ではだめなのです。そこに向かう道筋を設計することに繋がるイメージを持たせないといけないのです。このことにも触れました。

https://www.facebook.com/note.php?note_id=175526782528419

現実から遊離したものにしないために、そして、PTSDの未然防止であるからこそ、ここで抱く未来のイメージは、自分たちが持つ辛かった体験を思い出し、その体験を下敷きしながら、先を考えさせるものとさせないといけないと考えたのです。

 

◆初日に「都市緑化」に関する専門家の話が行われました。

◆それに続いて、「未来の町づくり」を最終日に作品として作り上げる予定であることが伝えられます。

◆最終日には、午前中いっぱいかけて、自分が作りたい「理想の未来の町」を作品として作ります。

◆最後に、その作品をファイアープレイスに並べ、全体として大きなオブジェとして仕上げていくのです。

(Ⅱ期では、グループに分かれて、立体的な作品をグループで仕上げることを行いました)

 

この理想の未来の町の作品作りに、キャンプの期間を通してディレクターを務めたのが、写真の柳瀬勝彦さんでした。材料は、東急ハンズが、あらゆる画材を用意し、子どもたちが自分の作品を大きな画用紙の上で実現できるように準備しました。

この活動では、お子さんが作りたい理想の町が、お子さんのイメージ通り作れたら良いなぁと思います。

そのために、さまざまな画材があり、このような壮大な作品を創造していくプロフェッショナルが、この流れを導きました。本当にありがたいことでした。

 

でも、それ以上に、重要なことがあります。

作品作りに入るときに、子ども自身が理想の未来の町を本当に作品として描きたいとの意欲が、最終日に満ちているようになるかどうかなのです。

 

この作品作りは、故郷のことを考えさせること、家について考えさせることなのです。Ⅰ期のキャンプも、Ⅱ期のキャンプも、初日の「都市緑化」の話が始まった途端に、子どもたちは落ち着きを失いました。それほど、この話は、お子さんには脅威的な話だったのです。なぜなら、町の話は、故郷の話、家の話であるからです。

 

地震被害、津波被害もそうですが、フクシマのお子さんたちは、放射線被害のために、故郷に残ることの危うさを日常的に感じています。ご家庭によっては、この地を去るか否かがいつも話題になり、ご家族が喧嘩になってしまっている場合も、決して少なくはありませんでした。

 

そのような辛い事と向き合うことが、この作品作りなのです。

ですから、キャンプのさまざまな場面の中で、恐さと向き合い、それを乗り越えた体験がその前に必要になります。

「自分には何かができる」との感覚が十分に育っていなければなりません。そうでないと、初日と同じように、その場から逃げ出したいワークになってしまうからです。

 

もちろん、この作品作りのプロセスそのものも、恐さと向き合い、それを乗り越える体験でもあります。

 

そのような意味をさまざまに含みながら、半日間、未来の町について明確に映像化して考えること、それを自分の最大限の表現力を使って作品化すること、それこそが、地に足を付けて自身の未来の夢を持つことに繋がっていくのだと思います。

 

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外傷的体験を受けた心のケアの理論(12)日常・将来への安全性を高める2

◆キャンプで音楽が果たす役割

 

キャンプでは、さまざまな歌を歌います。

気持ちをより高めてくれる童謡、民謡、流行歌などがよく歌われるようです。このような歌をキャンプソングと呼びます。ボーイスカウトやガールスカウトで歌われる歌をスカウトソングと呼ぶこともあるようですが、特段そのジャンルが 存在するわけではないようです。

 

本来、キャンプソングは、キャンプを愛し、楽しむ心を歌で表現することを表すものであるようです。リラックスしているときや、食事のとき、キャンプファイアーのときなど、タイミング、タイミングで歌を歌います。そのことで、心を通わせ、同じような気分を共有する役割を果たします

 

ヒトは、言葉を持つ以前の大昔に、リズムや鳴き声を通してコミュニケーションを行っていたと考えられています。表情と声の高さで、感情を伝えあうのが、ヒトになる前の類人猿たちのコミュニケーション手段だったのです。音は気分を表し、音程、テンポは感情を動かします。

 

声を合わせて歌うことで、仲間意識の育成や、親和性を高めることなど、さまざまな意義があります。

 

 

ただ、このキャンプでは、キャンプに参加する子どもたちの気分が共有できるテーマとなる曲を選曲してほしいと願っていました。

 

キャンプでのさまざまな輝く時間を、記憶に畳み、それを思い出しやすくするためです。

 

◆歌は優れた記憶再生装置

 

人の記憶は、一つの出来事を様々な要素に分割して、脳のあちこちに置き、そこをネットワークで結んで、頭の中に収納されるとされてます。

 

その要素は、「感情や気分の記憶」「映像記憶」「身体感覚」「聴覚記憶」「言語記憶」などに分かれます。この要素が多ければ多いほど、その記憶は印象深く記憶に残り、思い出しやすいのです。歌は「聴覚記憶」「言語記憶」「感情や気分の記憶」が同時に整う優れた記憶再生装置なのです。

「懐かしのメロディー」が人に愛されるのは、自分が生きた気分の記憶が動かされ、その時代の気分、自分が体験したさまざまな記憶が甦るからに他なりません。

 

このキャンプで、子どもたちに共有させたい気分・・・それは、悲しみを伴いながら、しかし、それで良いと自分を肯定するようなものです。

 

キャ ンプの前から、FACEBOOK上で、キャンプのテーマソングは話題になりました。いくつかの曲が試されました。お子さんたちが、声に出して歌えるよう に、何度も同じ曲が流されます。歌詞カードを見ながら、子どもたちが歌います。そして、キャンプ場で、子どもの様子を見ながら、テーマソングが確認されて いきました。

 

Ⅰ期のキャンプディレクターが、筆者に囁いたのは、2日目でした。

「この曲をテーマにします」

素敵な歌、「虹」でした。

 

♪ 見上げてみれば、

♪ ラララ、虹が虹が空にかかって 君と君の気分が晴れて

♪ きっとあしたは、良い天気、きっと明日は良い天気 ♪ 」

 

フィナーレで歌われた「虹」・・・大人も子どもも涙、涙の思い出となったのです。

 

別れの悲しみ・・・それと共に、温かい気持ちの触れ合いや、挑戦をした自分の姿、仲間の姿を記憶に残すために、そして、そのキャンプの体験を思い出しやすくするために

この歌は、「みどりの東北元気キャンプ」のテーマソングとなったのです。

 

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外傷的体験を受けた心のケアの理論(11)日常・将来への安全性を高める1

日常・将来への安全性を高めるとは

 

過去と現在とを繋ぐことが、過去の恐さを乗り越えることならば、 「日常・将来への安全性を高める」ことは、恐さを乗り越えた現在を未来に繋いでいくことです。 

 

「日常・将来への安全性を高める」ために、キャンプでは、いくつもの工夫が用意されました。これらは大きくは2種類のことから成り立ちます。

 

第一は、恐さを乗り越えた体験を記憶に留め、先々、振り返ることができるようにすることです。言わば、未来に向けて、今の乗り越えた記憶を思い出すためのキーを与えることです。先々のイメージを持たせることが、現在から未来を思うことですが、先々で今を思い出すためのキーを与えることは、未来から現在を思うための準備を行うことです。

 

第二に、「このようにあったら良い」と思えるイメージを持たせることです。しかし、このイメージは、現実から遊離したものではいけません、夢想ではだめなのです。そこに向かう道筋を設計することに繋がるイメージを持たせないといけないでしょう。この話は、別の機会にしましょう。

 

先々、振り返るための写真が果たす役割

その一つは、写真で した。20mの高い木に登り、全員の記念写真を撮っている姿です。この写真は、新聞にも掲載された「未来のみどりの町の完成」のオブジェを撮っている風景 です。この写真も人数分焼き増しされて、アルバムに張り付けられます。この写真だけではなく、お子さんの活動の最中の表情を捉えた写真を数多く撮ります。 写真は、その日のうちに作成し、お子さんに手渡されます。それもアルバムの中に挟みこまれます。

 

全員のお子さんのスナップ写真を収め、それを編集し、写真をお子さんごとに仕分ける作業を一手に引き受けたのは、東急不動産のCRSグループです。まるで、プレスセンターのようです。この写真の仕分けのために高性能の編集機器を持ち込み、何百枚の写真を仕分けします。その日のうちに、お子さんに2枚の写真をプレゼントします。

 

撮った写真は数千枚だったと言います。

 

そのアルバムの中には、その日の活動で印象に残った事をお子さんたちが記録します。

体験したことを記憶に残すときに、それを文字化しておくことが、実は大きな意味を持ちます

そのときに考えていたことや、感じたことが文字になって残されたとき、そのことが手掛かりになって、その日のことを思い出すことができるのです。

 

PTSDを扱うEMDRと呼ぶ治療でも、辛さを乗り越えた体験、そのときに得た良い感覚を思い出しやすくするために、一言の言葉として、記憶に刷りこむ作業を行う技法があります。

 

ですから、その夜の最後は、キャンパーと一緒に、その日のことを、子どもたちはアルバムに日記として記録に残すのです。写真を見返しながら、その日の印象的な出来事を記録します。そこに記載されたお子さんたちの記録に、その日に付き添ったキャンパーが言葉を添えます

 

 

アルバムが子どもたちに残し続けるもの

 

このアルバムは、自宅に戻ったときにさまざまな役割を持ちます。

その様子は、親御さんからの感謝のお手紙に数多く記載されていました、

帰宅後のお子さんの様子を伝える中に書かれた親御さんたちの感想です。

 

★日記に添えられていた写真を見て、とても感動しました。娘がどのような経験をしてきたのかを写真で表情まで見ることができ、とても嬉しかったです。たくさんのお子さんが参加され、スケジュールも一杯の中、このような配慮をしていただいて、本当にありがとうございました。

 

★子どもは、この思い出のアルバムと、歌の本がとっても大事な宝物だと言っています。貴重な体験をさせてありがとうございました。

 

このように、アルバムに書かれたこと、その写真が、お子さんにとって、自分が自信を得た体験をくり返し思い出す道具となり、同時に、家で待っていた家族には、自分の体験を語って伝えるための重要な道具にもなります。

 

このことが、お子さんにとって、このキャンプで味わった体験の記憶を、その後の日常の中に置くことができるのです。このことが、「日常・将来への安全性を高める」ことに繋がっていくのです。

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外傷的体験を受けた心のケアの理論(10)恐さを乗り越える4

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 前回、「恐さを乗り越える」には、外傷的な体験とシンクロするような「恐い体験場面」を用意する必要に触れました。

しかし、ここで、誤解がないために、述べておきたい事があります。「恐い体験場面」を用意して、それを体験して「大丈夫だった」と感じさせれば、それだけで良いのではありません。

 

その前に、第一の前提が十分になされなければなりません。恐さを越える前に安全、安心が確保されていなければダメなのです。恐さを自分でコントロールできることを教えておく必要もあります。そして、お子さんは「恐さ」や「緊張」などの不快感を、感じないようにしてはいけないのです。それを感じるのは一向に構わないのです。不快感を感じ、表現した方が良いのです。ですから、お子さんの「恐い」「嫌だ」「心配だ」などの不快感を表現するの促し続けます。

 

そのためには、支援者にも、「恐い」「心配だ」「どきどきしちゃう」「冷たくて嫌だなぁ」などと、自分自身の不快な感情を語ることをためらわないことを求めます。でも、「これを抜けるといいことあるぞ」と決意し、不快感を表現しながら、さらりとそこに臨んで行く姿を子どもに見せます。

 

シャワークライミングでは、深見を事前に見つけておき、わざとはまり込みます。「ここは深いやー」と失敗を示しながら、危険な場所を伝えます。適度な失敗を見せながら、失敗しても良いことも示します。

 

そして、もう一つ、この活動そのものが、本当に恐さを自分で越えた体験にするには、大切にしなければならない観点があります。

 

 

「達成感」です。

 

 

達成観を焦点にするとき、これまでしたことのないことに挑戦するのは、確かにいいでしょう。

 

ですが、このキャンプで、子どもたちのために、プログラムの中で一番苦労したのは、子どもたちがいかに「自ら挑戦してみたい」という気持ちを高めるかにあったのです。

 

 

やらされた活動では、終わったという開放感を味わうだけになります。

どれほど、素晴らしい活動でも、写真に写して見事な活動でも、やらされた活動は、達成観を味わうことはできません。「終わって良かった」「ほっとした」です。それで終わってはもったいない話です。

 

Ⅰ期のキャンプでは、それがプログラムに顕著に表れていました。お試し活動があって、自ら活動を選択し、それに挑戦させる形になっていました。その日の活動を子どもたちが選択する機会を与えたのです。諸事情で、何かの活動に乗れなくても、それは、本人が選択したことであると考えられるようにしました。

 

仮に体調の都合で会っても、子どもが行いたい活動に寄り添い、そのことに確かな役割と意味を与えるかかわりを行っていったのです。

一方、自ら選んだ活動であっても、(多くが友達の選んだ活動に乗ってしまったような場合が多いのですが)、それに、興味を示せなくなることもあります。そのときに、「自分が選んだ活動だろう。最後まで頑張れ」と言ったとしても、それは、子どもの自己肯定感を下げるだけです。そのことで、自己肯定感を高めることや、達成観をもたせることにはなりません。

 

Ⅱ期のキャンプでは、人数が多かったために、選択制が難しくなりました。

その場合ほど、キャンパーの声かけは、より高度なものが求められます。

「嫌だったけど、できて良かった」

「恐かったけど、大丈夫だった。良かった」

と、最後に、子どもとキャンパーが手を取り合えるためには、このソフトウェア―がいかにしっかりしているのかが、成否を分けます。本当の達成感があってこそ、恐さが消えていくことに役立ちます。

 

 

そのために不要な声かけは、次のものです。

「やりなさい」「頑張りなさい」「勇気を出して」「あなたならできる」「挑戦してみよう」

これらの声かけは、どれほど、自分で選んだものでも、一挙に、「やらされた感じ」が生まれます。

 

上記の関わりではなく、「いっしょうにやろうよ」という関わる側の視点の引き下げが第一に必要でしょう。

さらに、塩味として、

「ここまででも良いけど、こっちもあるよね。あっちのルートもあるけど・・・」

「どれに挑戦する?」「やってみる?」「どうする?」

と言うかかわりの中で、子どもに瞬間、瞬間で活動を選択できるようなバリエーションを与え、それを選択できる形に変えることが大切なのだと思います。

 

 

最終地点に到達した結果が、物事の達成ではないのです。達成感がそこで生まれるのではないのです。自己選択を伴った自己制御感があった上で、目標が達成されるような関わりの総和とプログラムの工夫が、達成感を生みだすのです。