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みどりの山梨元気キャンプin都留のお知らせ(みどりの東北元気キャンプ後援)

 

山梨で不登校のお子さんたちを集めるキャンプを、都留文科大学の早川惠子先生山梨県総合教育センターの佐藤丈先生が仕掛け人で行う運びとなりました。「みどりの東北元気キャンプ」のメンバーは、後援の形で技術支援のお手伝いすることになっています。
対象は不登校のお子さんで、山梨県内の先生からのご紹介になります。10月13日の支援者向け事前研修会へは、県外の方も参加が可能です。(場所に余裕があれば・・・ですが)

【講演会】 日時:2012年10月13日(土) 9:00~11:30 場所:都留文科大学

基調提案: 東京学芸大学教授      小林正幸氏

パネラー:  東京学芸大学特任教授   大熊雅士氏

都留文科大学教授      春日作太郎氏

都留文科大学講師      早川惠子氏

山梨県総合教育センター   佐藤丈氏

【事前研修】 日時:2012年10月13日(土)12:30~20:00

場所:都留市宝の山ふれあいセンター

講師:東京学芸大学特任教授          大熊雅士氏

福岡県キャンプ協会会長         大橋光雄氏

NPO法人自然体験活動推進協議会   太田原 康志氏

【デイキャンプ】 日時20121014日(90017:30

場所:都留市宝の山ふれあいセンター  (0554-45-6222)

費用:1500円程度(保険料込み) ※昼食をご持参ください

*この事業は、都留文科大学文学部初等教育学科心理臨床教室 重点領域研究(地域に貢献する研究領域)に山梨県総合教育センターが協力するものです。

後援     みどりの東北元気キャンプ実行委員会

みどりの東北元気キャンプ2012について(14)未知なる課題に取り組むための工夫(4)何を教え、何を待つのか?

◆ちょっと待て・・・の真意◆

「ちょっと待て すぐ手を出すな 口出すな よく見 よく聴き よく考えよ」には続きがあります。

「我々の使命は、子どものマステリーを育むことにある」とするものです。

「マステリー」とは、「辛かった体験、恐かった体験には何ほどかの意味があり、この苦しさに耐えられる、乗り越えられる」との意識や感覚を強めることであると、以前に書きました。

子どものマステリーを育むには、キャンプの活動の中で、未知の課題に、子どもが自ら挑戦し、それを成し遂げ、それを自分自身の力として自覚させる必要があります

冒険キャンプと親子キャンプのディレクター大熊雅士先生は、この意味について、こう言います。

そのために、支援者は、子どもが活動に安心して取り組めるようにサポートすることが大切であって、活動そのものをサポートすることではない事を示したものです。

支援者が子どもたちに手取り足取り教えたり、手助けしてしまうと、子どもたちがその活動を終えることはできます。活動が目指す目標は達成できるのですが、活動を成し遂げたからと言って、自信を持てるようにはならないのです。

大熊先生は言います。

「そのような手助けした活動には、支援者の「どや顔」だけが存在するだけであって、このキャンプの主旨である「参加したすべての子どもにマスタリーを得させること」を実現することはできません」。

◆教えるものは何か◆

では、まったく教えないのか、手伝わないのかといえば、そんなことはありません。

「○○の達人」は、子どもにその活動にどうしても必要なスキル、安全確保のためのスキルを教えるものです。

親子キャンプでは、子どもたちは無人島に渡り、一晩を過ごします。自分たちで、テントを組み立てます。このテントは、木を組み合わせ、そこにブルーシートを巻きつけるものです。

そこで肝心要になるものは、何種類かのロープの結び方でした。この結び方の基礎、基本は、前の日に子どもたちに教えます。全員が「ロープの達人」の証明書を持って、無人島に渡りました。

ロープのどこを結ぶのかを、支援者は伝えます。そして、「ここは○○結びで、お願いします」と伝えます。テント作りで一番重要なポイントは、子どもたちが担当するのです。この方式のテントは、ロープワークが全てです。これをマスターしておかないと、自分たちでテントを作り上げたという感覚が生まれません。

ですから、写真の通り、大人はほとんど手を出さず、子どもたちだけで作り上げていくことができるのです。

活動そのものを手伝わなくても、何をしたらよいのか戸惑いつづけるのではなく、互いが手を携えながら、活動に専念できるように支援者は意識するのです。

支援者は、子どもが自分でそれを成し遂げたと思える活動になるようにすることだけを考えます。そのために見守ることと、教えること、手伝うことと、任せるところが、定まっていくのです。

みどりの東北元気キャンプ2012について(13)未知なる課題に取り組むための工夫(3)「どうする?」「どうしたい?」

 

この記事は、みどりの東北元気キャンプエピソード(2)どうしたい?と問うこと・・・と関連しています。併せてお読みください。

◆「自分で選んだんだから」などとは言わない◆

 

活動を選択して選んだとしても、どの活動も簡単なものではありません。なりたい自分と、現実の自分とのギャップに打ちひしがれるのは、人生ではよく起きる話です。そのとき、「自分で選んだんだから・・」というセリフは慎みたいものです。その瞬間、それ以降の活動は、「選ばされたもの」に変質していきます。周囲のかける声の「自己責任」という言葉の冷徹さを、日本人はもう少し気づく必要があるように思います。

写真はカヌーを自分たちで作って、湖の浮かべて乗ろうという企画のときのものです。

実際に作り始めると、完成までに2時間以上かかります。この日は、猛烈に暑い日でした。

じりじりと夏の太陽が照りつける中、暑さにもめげないで、作成を続けているお子さんも、もちろんいます。

電気ドリルで、熱心にネジを打ち込む子どももいます。ロープでしっかりと、浮力をえるためのポリタンクを結ぶ子どももいます。

3.5㌔先の無人島を目指した仲間のカヌーが湖畔を離れ、見えなくなってからこの作業に取り掛かった時には、恐らく、カヌーの連中を見えるところまで追いかけたいと思っていたはずです。

作業が進むにつれて、果たして午前中に漕ぎ出すことができるだろうか、と不安になるほど、時間のかかる作業であることが分かってきます。

心の不調がでてくるとき、子どもは身体の不調を訴えます。「足の虫刺されが痛くなってきた」「昨日、湿布が取れちゃった」などなど。医療班の薬剤師さんが、このグループに付きっきりになりました。

 

◆しんどさに寄り添い、「どうしたい?」「どうしようか?」と尋ねる◆

このグループでは、このときに一番元気を失っていたお子さんです。顔が分からないように、わざと写真を暗くしていますが、今にも泣きそうな表情です。

熱中症が起きないように、お水と氷砂糖を与えた後で、心理スタッフが声をかけています。医療スタッフが身体のケアをする一方で、心理スタッフが「暑くて、嫌になっちゃうわよねー」と声をかけながら、氷砂糖をあげた瞬間です。

「どうする?もう少し休んでいる?」

「もう少し休んでいなさい」ではありません。「元気を出して、あと少しでできるんだから」でもないのです。ここで必要なことも、「選択」をさせるということです。

本当に大変であれば、この活動からリタイヤすることも、「選択」の幅に入れることもあります。仮に活動からリタイヤすることであっても、自分の判断で行うことであれば、そこにOKを出していきます。自分でそれをしないと決断したときに、それは、活動から逃げ出したことにはならないからです。

「どうしたいのかな?」「どうしたいと思っていたんだっけ?」「どうしようか?」

「自分が何をしたくて、その活動を選んだのか」の原点に返るとき、子どもは、決して活動を止めるとは言いません。もちろん、「手伝おうか?どうする?」と尋ねて、手伝ってほしいというのであれば、手伝います。

このスタンスでいることが、活動で起きる不快感を越えていくために、とくに重要な関わりになるのです。

湖に漕ぎ出したとき、この写真の次の瞬間、最後尾に座った先ほど泣き出しそうにしていたお子さんはにっこりと笑って、ピースサインを岸に送ってくれました。

みどりの東北元気キャンプ2012について(12)未知なる課題に取り組むための工夫(2)失敗をさせないための「選択」

 

最大の留意点は活動からリタイヤさせないこと

F3レーサーの井原さんの記事で、恐さを越えていくために必要なこととして、次のように述べました。

「基本は、恐く感じた辛かった体験を思い出しながら、その恐さを味わいます。しかし、実際には、その恐さは、今、目の前にはないものですので、今を意識しながら、その恐さの変化を感じとります。いずれ、その恐さは減少していきます。そして、この恐さが抜けた時に感じる安心感は、実は生物としては無上の喜びになります。これが、恐さを克服するために必要なことで、心理療法に共通するメカニズムになります。」

以下に示すように、キャンプでの課題は、災害時の辛かった記憶にリンクするのです。

このときに、最大限の注意を払わなければならないことがあります。恐さが減少していく前に、その活動からリタイヤしないようにすることなのです。

 

◆通常は思い出すことで症状が悪化する◆

覚えているでしょうか、井原さんはこう述べていました。

「クラッシュの恐怖は、早めに車に乗り、事故と同じような状況を無事に走ることでしか取れない」

怪我を押してまで、「早く車に乗る必要がある」と言うのです。時間が経過すればするほど、その恐怖が強まっていってしまうからなのです。なぜか。

繰り返し、恐かった瞬間、不快だった瞬間を思い出します。辛かった記憶を思い出すことで、記憶に恐怖や不快感が強く刻み込まれます。通常、記憶で思い出すのは、辛かった瞬間までです。最大の恐怖を感じた場面でため息をつき、そこで記憶の映像にストップをかけてしまいます。この瞬間、恐い過去の記憶の場面から逃げ出してしまうことが起きます。不快感に圧倒されてしまうのです。最大の不快感が高まった段階で、その場面から逃げ出すと、その恐さは、最大限の恐さとなって記憶に刻まれてしまうのです。

たとえば、カウンセリングなどでは、安心ができ、信頼ができる相手に、この状況を語ります。語れば良いというものではありません。それを語るときに、今、その瞬間に感じている不快感について、上手なカウンセラーは、感情面や身体的な変化などに焦点づけていきます。語り始めたときと、今語っている瞬間と、過去になったその大変な状況が起きた瞬間に感じた不快感とを、わけながら聞いていきます。

中心にどっしりとした感覚を堅持しながら、相手の感覚に同調させつつ寄り添っていきます。そして、それを語りきったときに、「語って良かった」と思えるような感覚が持てるように会話を行っていきます。「語って良かった」と思える感覚は、不快感を細かく焦点づけられた中で、不快感を感じる場面にずっと向かい合っているからこそ、起きてきます。

なぜなら、脳は一定の感情をいつまでも保っていることができません。しっかりと感じ切ると、その感情は自然に下がっていくようにできているのです。しかも、安心した状況の中で、安心できる相手にそれを語っているときに起きる感情は、安心です。安心しながら、恐怖や不安を同じレベルで感じることはできないのです。ですので、不快感に圧倒されないで、その不快な体験場面に留まることができるのです。一人で思い出しているのとはまったく逆の結果になるのです。

写真は、メインの活動から逃れた子どもに寄り添う心理スタッフの様子です。怒りながら、そこら中を叩きまわっていた子どもをチャンバラの遊びに引き込んで、怒りに向き合い、寄り添います。

 

◆「選択」が目指す自己コントロール感の向上とリタイヤの予防◆

 

「みどりの東北元気キャンプ」では、あらゆる活動場面で「選択」できる機会を用意します。前回紹介した「達人証明書」も、達人になる時間を設けていますので、子どもたち全員が全ての「達人」になれるわけではありません。自分で、どの達人になるのかを選択します。

3日目は、チャレンジの日ですが、チャレンジの直前には、各活動に許される人数分チケットを配ります。ツリークライミングでは、30メートル上空を目指します。カヌーは、転覆した状態を自力で復帰できることを目指します。大人にとってもハードな課題に挑戦していきます。

このようにして、自分で明確に選択する機会を与えるのです。人気が殺到している場合には、子ども同士でチケット交換をさせて、最終決定してもらいます。ちなみに、このダフ屋さんにしか見えないのが、大熊副実行委員長です。公立学校の元副校長とは思えません。(^○^)V

災害は、自己コントロール感を喪失させる体験です。そこがレースとは異なります。同じ状況に持っていくことはできません。自らの活動を選択させることは、自分で状況をコントロールできる体験に他なりません。このチャレンジでの選択に限らず、あらゆる場面で「選択」を大事にすることとにしたのは、災害の心のケアだからなのです

そして、このもう一つの意義は、不快感ゆえに活動から離脱することを、極力避けるということもあります。不快感ゆえに状況から離脱してはならないのではありません。でも、上手に離脱させないといけないのです。そこから逃げ出すように離脱すると、不快感がさら に悪化してしまうのです。それは、先に述べた脳のメカニズムによるのです。選択を重ねることで、離脱の危険性が自ずと減っていきます。

しかし、子どもたちの選択を見ていると、実に興味深いのです。ツリーハウス作りには、なぜか、故郷に戻れないかも知れないと思っている子どもが集まります。学校で不適応を示している子どもは、カヌーで一流になることに挑戦する子どもが多かったように思えます。

自分が抱えている課題を克服することを、子どもたちは進んで選択しているようでした。

その姿は、傷を負っても恐怖を乗り越えることを目指したF3レーサーの井原慶子さんと同じように思えました。

みどりの東北元気キャンプ2012について(11)未知なる課題に取り組むための工夫(1)全体構造をどうするのか?

 

◆キャンプの課題が目指すもの―マステリー◆

このキャンプで、子どもたちに身に付けさせたいと思ったことは、「マステリー」の意識や感覚です。ここで言う「マステリー」とは、「辛かった体験、恐かった体験には何ほどかの意味があり、この苦しさに耐えられる、乗り越えられる」との意識や感覚を強めることです。

お子さんに用意する課題は、以前に触れたように、どこかで震災での傷ついた体験を思い出させるものです。そして、どの課題もこれまで取り組んだことのないものです。未知の課題なのです。その課題のどれも、それほど簡単なことではできないと直観されるものです。そのことだけでも、不安は高まります。

震災での傷つき体験をどこかで意識しながら、各人が目の前の課題をやり遂げようとし、その過程で以前よりも進歩している自分、できるようになった自分を意識させるようにします

それがうまくいけば、震災のときに感じ、考えた「無力であった自分」「役に立たなかった自分」「弱い自分」とはまったく逆の「力のある自分」「役に立てる自分」「強い自分」自己イメージとして取り戻せると考えているのです。

◆全体の構造をどうするのか◆

そのために、各活動の流れは、選択をさせ、試させ、そして、自分に越えられそうと思う課題にチャレンジをさせていく構造にしました。このことは、複数の課題を用意したというだけに留まりません。

たとえば、今年のキャンプは、いずれのキャンプでも「達人証明書」を細かい活動で準備しました。どの達人を目指すのかも、個々人の選択になります。一定の技量があると認められた場合に、各活動で「達人証明書」が手渡されます。これは、近年、総合的な学習などの学校の勉強でも、先進校で試みられている「ジグゾー学習法」「ジグゾー・メソッド」と呼ばれるものです。その手法を応用したものです。

自ら獲得したいと思う技能を選択し、それを学習し、一定基準をクリアーするように努力します。その基準がクリアーできると、仲間との活動の中では、達人たちは指南役になったり、カヌーで3.5㌔先の無人島に行く資格を得たりすることができます。

各人が身に付けるスキルは皆違いますので、互いを比較する必要はありません。あくまでも、伸びている自分を確認しながら、各活動に取り組んでいくことになるのです。

選択をし、試し、そして、チャレンジをしていくことが、キャンプの活動の全ての中で、多種多様に用意されていたのです。

写真は、グループごとに、大人、子どもを合わせて150人前の夕食のおかずを数時間かけて子どもたちが作る「ビストロin小野川湖」です。この活動では、「火起こし達人」「料理の達人」が活躍しました。「料理の達人」たちは、包丁の使い方と、レシピを頭に入れて、事に臨んでいます。料理の達人の子どもたちは、頭に紙でできたコックさんの帽子を被っています。

写真の右側の子は、この帽子がもらえたことが嬉しくて、まだ活動が始まる数時間前から、この帽子を被っていました。