世界一 心が温まるキャンプを福島県でやりたいと思う

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2012年みどりの東北元気キャンプまとめ(4)参加した子どもたちが被災した場所について

図で示すようにみどりの東北元気キャンプに参加したお子さんたちの93%は、福島県内で被災し ました。郡山、福島市のお子さんが多いのは、両教育委員会の後援を得ていること、2011年に郡山市にあった大きな避難所にお声をかけ、その参加者が仲間を募る 形で参加してくるなどの事情によります。上記両市以外の福島県内のお子さんたちの3分の2は、被災場所が両市の放射線量よりも高い地域のお子さんで、その多くは避難所生活を体験されていま す。

ご存じのことかと思いますが、一口に郡山市、福島市と言っても、一様に放射線が高いわけではありません。学校の除染が進んだこともあり、学校の校庭の放射線や通学路は、都内と同程度の数値を示す場所もかなりあります。多くの地元の方たちは、放射線の計測機器を 使って、どの場所が危うく、どの食事が危ういのかを熟知しています。食物に疑問を持ったときには、近所の公民館で放射線量計測を行い、食事に気を使っています。

128名中72名(56%)の親御さんは、2011年時に「お子さんが放射線に関わって不快な体験をした」にチェックがあります。

現状では、「放射線のために外遊びに制限がある」に56名(43%)の親御さんがチェックしています。「生活面での変化のために我慢することが増えた」については、45名(35%)の親御さんがチェックしています。

放射線は目には見えず、感じることすらできないものですので、それをどの程度不快に感じるのかは人それぞれになります。自分の生活空間をどの程度子どもにとって危ういと思うのかの数値としては、妥当なものであるように思われます。

2012年みどりの東北元気キャンプのまとめ(3)体験と現状と症状との関係

今回の説明は、少し専門的になります。申し訳ありません。
◆ストレスが示す症状を分類してみました◆

2011年にキャンプにご参加いただいたお子さんの様子について、保護者がアンケートにお答えいただいたものについて、コンピュータで似た項目を分類させたところ、以下の4種類に分かれました。

縦に「幼い振る舞いが多い」から「身体の不調を訴える」までの6項目を「情緒不安定との名称にしました。

同じように「乱暴である」から「怒りやすい」までの4項目を「攻撃・無気力」とし、「学校に行きたがらない」から「おとなしい」までの3項目を「学校不適応・非社会性」としました。そして、「集中力が散漫である」から「忘れっぽい」の3項目を「集中力散漫・睡眠」との名づけました。

因子分析結果(主因子法;バリマックス回転)による項目群の分類

 

◆被災体験とストレスを示す症状との関連◆

 

4つの症状と、被災時の体験とがどのような関連を持つのかを調べました。すると、次のような関連が見られました。◎印は、これを体験したお子さんが他のお子さんよりも、とくに強い症状が見られた項目です。○印は、体験したお子さんの方が、より強い症状が見られた項目です

※これは、体験の有無で2群にわけ、2群間を独立したt検定を行ったものです。○は5%有意、◎は1%有意を表します。

 

ここで分かるのは、親しい仲間や親せきなど、自分の親しい人と別れることになった場合や、学校で仲間関係などで不適応を感じたお子さんが、さまざまなストレス症状を示すことです。また、放射線での不快な体験は、「情緒の不安定さ」と関連し、避難所での生活体験は、「集中力の散漫さ」などに課題を残していることです。

◆現在の普段の生活上の状況ととストレスを示す症状との関連◆

 

4つの症状と、現在の普段の生活上の状況とがどのような関連を持つのかを調べました。すると、次のような関連が見られました。

◎印は、この状況にあるお子さんが他のお子さんよりも、とくに強い症状が見られた項目です。○印は、この状況にあるお子さんの方が、そうでないお子さんよりも強い症状が見られた項目です。

※これは、体験の有無で2群にわけ、2群間を独立したt検定を行ったものです。○は5%有意、◎は1%有意を表します。

 

ここで分かるのは、学校や家庭でストレスが高い状況にあると、全てのストレスを示す症状が悪化すること、また、「放射線の高さゆえの外遊びの制限」や、「生活上の我慢は」、攻撃性以外のストレスによる症状を悪化させることです。

 

 

 

 

 

2012年みどりの東北元気キャンプのまとめ(2)2011年との比較

2011年に「みどりの東北元気キャンプ」に参加されたお子さんと、2012年に参加されたお子さんのストレス反応を比較してみました。さまざまなストレス反応が増加している様子が明らかになりました。

興味深い結果が得られました。

そして、残念ながら、それが今年の春に懸念していたことを端的に表す結果となったように思われます。

最初の表は、増加しているストレス反応です。

 

表は%の差異の多い順に並べましたが、「妙にはしゃぐ」で4.6倍、「泣くことが多い」で2.8倍、「集中力が散漫」で2.8倍、「忘れっぽい」で2.3倍、「勉強しない」で2.2倍、「反抗的」で2倍の増加ということになります。ただならない増加です。

 

「反抗的である 」「怒りやすい」の攻撃性の増加と、「集中力が散漫」「忘れっぽい」「勉強しない」という経度の解離症状、「妙にはしゃぐ」「泣くことが多い」の情緒不安定さの増加ということになります。

お子さんがこれらの症状を示すようになるのは、不快に感じた感情を表現せず、我慢をし続けることで生じるものです。前に示したように、お子さんが震災時に味わった出来事も、その後の生活上のストレスも半端なものではありません。その高いストレスをぐっと押し殺していると、まずは、自分の不快感の感情を攻撃で発散するようになります。さらに、それを感じないように、大人が押さえつけたり、相手にしないでいると、情緒不安定な症状や軽度の解離症状に発展していきます。「集中力が散漫」「忘れっぽい」などは、何でもない症状のように見えて、このままにしておくと、心配な症状であると思われます。

 

学校内での問題行動としては、いじめ・いじられの問題や、学級で不適応感が不登校傾向や、学級規律を逸脱すること、さらに、教師の関わりによっては、学級崩壊などの課題が生じやすい心理的な環境が整ってしまいつつあるのです。

ストレス反応では、親御さんに「甘える」ことが一番多く、3分の1以上(35.7%)のお子さんに見られました。これも8%増加していますが、むしろ、全体として、症状の出現率が上昇している中で、これは好ましいことのようにも思えます。これらのお子さんには、不快感を親御さんが受け止めようとしている結果なのではないかと思われます。このことが不十分な場合に、ここで示したような症状が増加するのではないかと思われます。

 

一方、以下は減少した症状ですが、これらはうなずける結果です。「睡眠の問題」「身体の不調」は、ストレスが強くかかった場合に起きやすい症状で、通常、早く生じる症状で、落ち着いて来れば、回復しやすい症状の代表です。ただ、「睡眠の問題」が、1年半経過してもまだこれだけの割合残っていることは、大分、心配であるように思われました。

「幼い振る舞い」についても、何はともあれ、大人から心のケアを得たいと思った時に生じる症状ですので、緊急事態が終息した段階では減少する症状です。