世界一 心が温まるキャンプを福島県でやりたいと思う

  • みどりの東北元気プログラム活動報告ブログ
  • みどりの東北元気プログラム ホームページはこちら

佐藤丈さん(みどりの山梨元気キャンプ(不登校キャンプ)リーダー)の感想

しみじみキャンプを思い出しています。

老若男女、雪の中で転げ回り、雪の中で眠る…太郎を眠らせ太郎の屋根に雪は降り積む…イグルーが小さなろうそくの灯りに十分ライトアップされるくらいシミジミ暗い小野川湖でした。

雪でできた小さな家は、水の家、いずれ近いうちに、消え去ってしまうのですね。あんなに苦労して作ったのに・・・。

自分の力の及ばないところで、どうしようもなく、消え去ってしまうのなら、自分の手で打ちこわしたい。槌を自分たちのイグルーに振り下ろす子供たちは、そんな思いだったのかもしれないなあ。

そういう「表現」ができ、それをそれとして受容できるリーダーがいるこのキャンプは、大きな癒しと勇気づけのセラピーであったと思うのです。

 

 

大熊先生「2つのエンジンの話」の効果;雪中トレッキング

今年の雪は、昨年の半分以下。去年に比べてイグルー作りもスムーズに進んだこともあって、子どもたちの体力も衰えておらず、達成を心配するようなこともなかったようです。

それでも大熊雅士先生(くまG)は、去年にも増して、「2つのエンジンの話」を丁寧に、強調したそうです。

 

「これから、不動の滝までの道は、決して優しくないぞー。急な坂もあるし、なかなか前には進めないかも知れないし、くたびれ果てて動けなくなってしまうかも知れない」

続けて、2つのエンジンの話をしました。

2つのエンジンの話とは、以下のようなものです。

 

「人には二つのエンジンがある。一つは我慢し、頑張ろうとする力だ。

そして、もう一つは友達の励ましによるやる気だ。

これから先の山路は相当きつい。

しかし、この二つのエンジンを使って、全員で不動の滝まで登り切るぞ!」

 

 

普段扱ったことのないスノーシューを履いての登山。駐車場まで1キロ。その先2キロの急坂は、去年ほどではなくても大変であることに変わりはありません。登る前に、目の前の課題は、誰にとっても大変な課題であると子ども達に宣言したのです。

 

通常の登山では、登山のときに出てくる体力差の中で、体力のない者ほど辛い体験になります。

くまGが示したのは、この差を埋めるのが、仲間の励ましであり、余力のある者が、ない者を支えることの重要性でした。そして、それは、目の前の課題が誰にとっても大変なことであるとした上で、各人の大変さを同じ次元に置きました。その上で、エネルギーを持つ者が、エネルギーの枯渇した者を助ける事を重要な価値として置いたのです。

木の上に昇るツリークライミングでもそうですが、早く登れることが偉いことでも、高く登れることが凄いことでもなく、昨日までできなかったことができるようになったことを実感することの方が大事なのです。

苦労し、励まし合い、時間の差があったとしても、互いに励ましながら全員が登れることができれば、不動の滝に到達することは、自分の手柄にもなり、それは、全員の手柄にもなるわけです。

ただ、昇ればよい・・・ということでもないのです。

大熊先生は言います。

「一つ発見したのですが、スノーシューでの下りは、滑りおりてくるので、とっても楽なんです。子ども達は、ゆったりと、笑いながら、話しながら、上りの大変さを分かち合いながら下りてきたんです。どうも、今回は、その時間がたっぷりあったことが凄く良かったみたいです」

「それに、戻ってからの振り返りの時間もしっかり取れたのも良かった。バスの時間に余裕があったので・・・。

「子ども達に聞いたら、イグルー作りの方が大変だったろうに・・と思ったんですが、半分以上は、このトレッキングの方が大変で、思い出に残っているって言ったんですね」

課題は難しいと思わせた方が良いこと、乗り越えた充実感をたっぷり味あわせ、語り合わせること、それを大人が喜ぶこと・・・・これが今回のトレッキングでの学びでした。

 

「南会津の田代山登山も、これはやり方を変えないといけないな」

大熊先生は、すでに夏を考えていました。

 

心理スタッフわっきーの支え

キャンプにはさまざまなお子さんがいます。くまG(大熊雅士先生)は言います。
「心理スタッフわっきーの存在は貴重だったんですよ」

心理スタッフわっきー

 

夏のキャンプのときから、我々心理スタッフが気にしていたお子さんの一人で、とても物静かな子がいました。夏にはスタッフでは誰もその子とはお話ができませんでした。お話どころか、声を聞いた記憶もありませんでした。写真を撮られるのを嫌がり、夏のキャンプのときは、集合写真でも、顔は伏せたままでした。

今回、キャンプの出迎えに行き、その子の変化に驚きました。カメラを向けても逃げる様子もありません。それどころか、「キャンプ、楽しかった?」と尋ねると、「うん!」と笑い深く頷いてくれたのです。声を始めて聞いた喜びと驚きを隠して、「そぉ、そりゃあよかった」と、にっこり笑って返しました。

 

キャンプを終え、駅に到着したキャンプの子ども達

 

「キャンプ場で何がありました?」後日くまG(大熊先生)に尋ねました。「あったんですよーそれがー」大熊先生は身を乗り出しました。

聞けば、イグルー作りのときのことだそうです。このお子さんの作る雪のブロックは、時間をたっぷりかけて丁寧に作るので、しっかりしまって、形も正確な直方体だったそうです。
別のお子さんがそれに気づき、「格好いいの作るねー」と言ったのだそうです。「お、そうだなー、恰好いいなー、しっかりしているなー。いい仕事だ」と、大熊先生が褒めました。「皆、そうだって言ってるぞー」
そのとき、本当に満面の笑みを浮かべたのだそうです。キャンプ場で見た最初の笑顔でした。
「その後なんですよ」大熊先生が続けます。心理スタッフのわっきーが、「くまGにほめられたねー、よかったねー」と追い打ちをかけたのです。

この後、くまGとわっきーのコラボが始まったそうです。わっきーが子どもを褒めると、くまGがそれを喜びます。くまGが子どもを褒めると、わっきーが後追いをするのです。

子どもを支えるくまG(大熊雅士先生)

 

この後、このお子さんがスタッフの撮る写真に現れるようになっています。
わっきーは、キャンプが始まると、気が付いた気になるお子さんについて、スタッフで小声で関わり方の示唆を与え続けてくれていたそうです。
「助かりました」くまGは目を細めます。
心理スタッフで唯一厳しい雪のキャンプに参加したわっきー。感謝です。

3月30日みどりの東北元気春キャンプ・星空の下のアートディレクター柳瀬さんの仕事

見上げれば見事な星空・・・夕方雲が切れて星が美しく輝き始めました。

その星空の下、アートディレクターの柳瀬さんは、完成したイグルーの周りをぐるぐると歩き始めます。キャンドルをキャンプ場に設置するためです。

星空に呼応するように、キャンプ場を色とりどりの光で包むためです。真っ暗闇になるキャンプ会場で、足元を照らして、安全を確保すること、トイレまでの暗闇を照らすためです。

しかし、アートディレクターの柳瀬さんは、建築デザイナーとしての妥協がありません。

柳瀬さんは言います。

「子どもたちと過ごす雪山の夜を300以上のキャンドルと60以上のLEDライトで演出しました」

「真っ暗な雪山を幻想的に演出することができました」と。

60以上のLEDライトは、昼間の内に、一つ一つ光の具合を確かめ、電池の弱いものは、全て電池を入れ替えたと言います。風で吹ききれないように、キャンドルの風防を一つひとつ作成し、午前3時頃には、灯りが消えるように計算されています。

くまG(大熊先生)は、次のように置かれた光の置かれ方が不思議で仕方がなかったようです。写真をよくご覧ください。

 

 

ただ、無造作に置かれたように見えながら、どの位置からも、どの角度からも、キャンドルの光が互いに重ならないように、干渉し合わないように置かれていているのです。視野の中に納まる範囲に同じ色のものがないのです。

これがプロの仕事なのだと思います。素人では逆立ちしてもできないセンスと技能です。

キャンプ場では、くまG(大熊先生)が、一か所で木を精緻に組み上げて、いつまでも火が燃え続けるようにし、暖が取れるようにしました。

この環境のおかげて、子どもたちは、氷点下になる気温の中、9時過ぎまで、この光の中で自由に漂っていました。居心地が凄く良かったのだと思います。

 

 

光を眺めながら、何人もの子どもたちが、気の合う仲間と、キャンドルの前に座って、そっと寄り添いながら、小声で話をしていました。身体が冷えると、ときどき、くまGが暖を取るために設けた火のところに行きます。身体が温まると、心を温めるために、キャンドルのところに戻ります。

時間が9時を越えたので、くまGがそっと言います。

「イグルーに入って、お話を続けたら、どうかな?」

子どもたちは、静かにすーっとイグルーの中に入っていきました。

ほどなく、キャンパーたちがイグルーから出てきました。

「15分で全員、眠りに落ちました。イグルー作りで疲れてますものねー」

見上げれば、冬の星座オリオンが大きく西に傾き、スバルが鈍く輝いていました。

 

 

 

 

3月30日みどりの東北元気春キャンプ・イグルー作りの様子・アートディレクター柳瀬さんより

流石、美術学部建築学科卒業のプロのアートディレクターさんです。イグルー作りの制作過程を分かりやすく連続写真で伝えていただきました。

 

柳瀬さんより・・・

キャンプ2日目の試練。イグルーづくり!
自分たちの寝る場所を自分たちで作ります!雪のブロックを200個以上作って積み重ねていきます!7つのグループが自分たちに好きなイグルーを創りまし た。昨年経験している子供たちがリーダーとなって役割分担や指示を出し皆で協力し合って全グループが日没までに完成しました!

イグルーの中にブルーシート を敷き、銀マットと通常のベットマット、寝袋二枚重ねでその上から毛布を掛けて寝ました!