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「みどりの東北元気キャンププログラム」解説(3) チームで働く力を育てる中で目指すレジリエンスの向上

「チームで働く力の源は「みんなで何かをなし遂げる」ことの心地よさの体験」によって得られます。
しかし、なぜ、このような体験が、被災した子ども達の心のケアのために必要なのでしょうか?キーワードは、PTGと、レジリエンスです。

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PTG(外傷体験後成長)とは、「危機的な出来事や困難な経験との精神的なもがき・闘いの結果生ずる、ポジティブな心理的変容の体験」と言われています。これは、災害や強烈な挫折の後に、PTSD症状を示さず、むしろ大きな成長を遂げる人がいることが分かるようになって、近年、注目されている概念です。
興味のある方は、以下のURLをご覧ください。
http://www.positivepsych.jp/pp6/20131020.html

このようなPTGを遂げる人と、PTSDなどの症状で、その後に辛い時間を過ごす人とで何が違うのであろうかということを、分ける要因の研究も進んでいます。

まだまだ、発展途上の心理学の研究ですが、その中で「レジリエンス」が関連しているのではないかといわれています。
「レジリエンス」を、NHKは「折れない心」と名づけています。これは、「楽観性のように自分のいる状況に対して前向きに、不安とかそういうものに打ち負けないでしなやかにこなしていく心の持ちよう」のことを指しています。楽観性の他には、不快な感情に押しつぶされない「感情コントロールの力」、自分は自分でよいのだという感覚や自己肯定的な感覚がある「自尊感情」、自分にはできるだろうという自信である「自己効力感」などが関連していると言われています。
興味のある方は、以下のURLをご覧ください。NHKクローズアップ現代のものです。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3486_all.html

みどりの東北元気キャンプで、「みんなで何かを成し遂げる」ことの心地よさの体験」を重視するのは、「レジリエンス」、つまり、「折れない心」を育むためですし、その先で、大きく成長してもらいたいためなのです。
何かをなし遂げるということは、必ずしも、100%の成功でなくても良いのです。成功していない部分も含めて、いや、失敗ですら、挑戦しない限りは得られないものなのですから、そこには、大きく得られたものがあるはずです。
ただし、そのことが分かるためには、一人で何かをしているだけではダメなのです。そこで行ったことへの多様な評価ができないからです。自分の目標が果たせ ればOKで、果たされなければOKではないと考えてしまいがちです。このことがレジリエンスに必要な柔軟性を損ないます。

崩落した天井を覗き込む小野川湖の木々

お互いがお互いを信じられる関係を作り上げ、仲間の目標と自分の目標をすり合わせて、事に臨みます。
でも、100%の成功というのはありません。人間ですから、途中でさぼりやすくなります。一生懸命作っても、結局イグルーの屋根が崩落し、最後にはブルーシートで覆わなければならないような場合も起きます。
夜中に起き上がって、天井を崩してしまったお子さんもいたようです。

でも、天井が崩落した穴から、湖の木々が覗き込んでいます。三度失敗しても、天井ができなくても得ることはあります。

大事なのは、それを笑って許す仲間と大人の存在です。失敗を教訓にしていく振り返りの話は、別に述べますが、うまくいったところだけではなく、失敗から何を学ぶのかの教訓の学び方も丁寧に扱っていきます。

 

よくある「反省会」で、大人が教訓を垂れてお仕舞いにするような振り返りはレジリエンスを損ないます。しかし、適切な振り返りがあれば、失敗を笑って自分得た意味ある教訓を語れるようになるのです。そのようにできることが、レジリエンスが育った証しなのだと思います。

 

親御さんの報告では、一番大きなイグルーに挑戦し、見事に天井ができなかったグループの子どもたちは、お母さん方に繰り返し、いかに失敗したのか、それがいかに面白かったのかを語り続けたということです。

レジリエンスはこのように育っていくのですね。

 

「みどりの東北元気キャンププログラム」解説(2) チームで働く力を育てる支援者の関わり方

「チームで働く力の源は「みんなで何かをなし遂げる」ことの心地よさの体験」によって得られます。そのためには・・・
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自分達の力でなし遂げたと思えるようになるには、「3センチの我慢」が大人に求められます。
3センチの我慢とは、大きな失敗をさせないようにするものの、不必要に手伝わないという大人側の構えのことです。
「ちょっと待て すぐ口出すな 手を出すな よく見 よく聴き よく考えよ」は、支援者の基本姿勢を示す言葉です。

参加した子どもに経験者が多くいたこともあり、春キャンプの子ども達の目標は「こだわりのあるイグルー」だけではなく、「子ども達だけの力で作る」ことが目標になりました。

ですから、支援者たちは、格別に手を出さないことを意識させられました。

天井が崩れ落ちたときに、横で腕組みをしている支援者がいました。
別の支援者が、「どうして?なんだか態度悪いよー」と尋ねると、「腕組んでいないと、手を出しそうで・・・」と、必死に動きそうになる手を抑えていたのだそうです。

写真は完成までのプロセスです。大人が手を出していないことが、写真からも伝わります。

イグルーの大きさを身体で計測しています。

雪質が最適な場所を探して雪をつめてブロックづくりです。

 

全体重で雪を固めてブロック作り。イグルーの成否はこれにかかっています。

でも、本当に手を出していないのではないのです。何を支援者は手伝っていたのでしょうか?

春キャンプに全回出席の宮内有加先生(みやゆう)が、支援者の支援方法について、振り返りのメモでご報告をしていただきました。何を手伝い、何を手伝わないのかのヒントになります。(文章を一部変えています)。
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【宮内有加(みやゆう)】先生のメモ
なぜうまくいったのか、子どもたちとの振り返りをもとに、私なりに整理してみました。

①子どものリーダーを決めました
経験者の4名の女子と春キャンプ未経験者の男子2名でした。大人のグループリーダーが2人つきました。
子どもたちで作ることが今回課せられた課題でしたので、まず子どものリーダーを決めました。そして1日目の話し合いから子どものリーダーが中心となり、計画を立てるようにしました。

②経験者が中心となって、作り方の手順と役割分担を決めた。役割固定しないことが大事だと決めました。
これまでの経験をもとに役割は固定せず交代の方がよいなど話し合って決めました。作り方はおおかた、子どもがイメージできていましたが、足りないところは補足説明して作る前にイメージ化を図りました。

③子ども達がスモールステップで目標設定をするようになりました!
作成段階では、一段完成するごとに記念撮影をしました。子どもたちから時間を聞かれ、いつの間にか、次は何時までに○段を完成させると言う、スモールステップの目標設定がリーダーを中心にできるようになりました。
一段完成するごとに拍手し、記念撮影をして、おやつを食べて、また新たな気持ちで次の段を積んでいきました。

ブロックを丁寧に積み上げていきます。

④大事な技術は徹底して教えてもらいました
穴を掘り終わり、これからブロックを積み上げるタイミングで、クマGが来てくれて、段を噛ませて積み上げる技術を丁寧に子どもたちに教えてくれました。これがなければ、途中で積み上げた段が崩落してしまう可能性がありました。基礎となる大事なことはきちんと教えることの大切さを実感しました。

あと一息・・・この直後に天井が崩落したとのことです。

今回のキャンプを通して、継続することの大切さを実感しました。大人だって作ることが困難なイグルー作りを苦労しながらも完成させた子どもたちに拍手を送りたいです。子どもたちの成長は素晴らしいですね!私たち大人も頑張らなくてはです。

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イグルー完成。夜の気配が漂ってきていました

「みどりの東北元気キャンププログラム」解説(1) チームで働く力を育てる目標の共有について

「チームで働く力の源は「みんなで何かを成し遂げる」ことの心地よさの体験」によって得られます。そのためには・・・
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チームがチームとして働くためには、それぞれの個が寄り集まったときに、個々人ではなし遂げられないことをなし遂げられるようでなければならないはずです。

そして、本当の「チームで働く力」は、本物のチームで働き、良かったと思えないと身に付きません。このことを子どもに体験させることが、教師や子どもに関わる者には求められています。

我々が行っている「みどりの東北元気キャンププログラム」は、教師や支援者が、そのような体験を子どもに与えることができるようになることを目指しています。

イグルー作りに向けて、個々人で計画を立てます。

 

経産省は、「社会人基礎力」として、「チームで働く力」を取り上げています。そこでは、以下の6つの能力要素を取り上げています。「発信力(自分の考えを周囲に分かりやすく伝える力)」「傾聴力(他者の意見を聴く力)」「柔軟力(意見の違いや立場の違いを判断する力)」「情況把握力(関係性を理解する力)」「規律性」「コントロール力(ストレス源に対応する力)」です。

これは、一見正しそうですが、それは違います。これを個々人の能力要素として考えることが問題なのです。個々人の能力要素の総和が機能性の高いチームを作るのではありません。よく機能しているチームを見ると、そこに所属する人たちは、チームとしてどの人もこれらを上手くしているように見えるという話なのです。

 

「チームで働く力の源は「みんなで何かを成し遂げる」ことの心地よさの体験」によって得られます。

これは、何を意味するでしょうか?

 

個々人の目標とチームとして何かをなし遂げることの目標が両立する目標を最初に定めねばなりません。そして、活動に入ったら、その目標がズレていないかどうかを確認しながら、自分の立ち居 振る舞いを相互にチェックしあいつつ、互いを尊重しながら進んでいかないと、「みんなで何かを成し遂げた体験」にはなっていかないのです。

 

このプログラムで、この力を育むには、このような良質なチームで動いて、みんなで成し遂げた体験、しかも、その体験が自分自身もなし遂げたかった体験として同時にあるような体験を、どのお子さんにも味合わせることが大事なのだということになります。

 

メンバーに、意見の違いや立場の違いを判断することや、関係性を理解することが極端に苦手な子どもがいても、その子どもが排除されず、そ れどころか、そのチームになくてはならない者になるように、上手にコーディネートしていくこと、そのようにチームをファシリテートしていかねばならないの です。本当の「チームで働く力」は、本物のチームで働かないと身に付かないのです。このことを子どもに体験させることが、プログラムの支援者には求められているのです。

 

そのために、まず、最初に行わなければならないのは、目標の共有です。
その目標は、自分の目標でもなければなりません。
個々人の目標とチームとして何かをなし遂げることの目標が両立することを目指します。

全員にとってWin-Winの目標を立てていくのです。

目標の共有こそ、最初に行わなければならないのです。

チームメンバーで互いの計画を確認し合います。

チームの目標のすり合わせ

額を寄せ合って考えます

チームとして定めた目標を象徴的に表すチームフラッグの作成