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『サポートが必要な子どもたちの野外活動・外出支援ハンドブック』より(10)子どもたちの話し合いを深めるために

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子どもたちの話し合いを深めるために

 

▽【活動の振り返りをする意味】
何かの活動をするときには、活動の前に、個々人がその活動で目指したい目的を定める時間を設けます。活動がうまくいくために、活動の前に、「どんなことを目標にして取り組みたい」と考えているのかを定めます。そして、活動を行い、その後で、活動を振り返る話し合いの時間を設けます。

 

 

▽【成果の確認は一緒に喜ぶ】
「何が果たされた」かの確認では、一緒に喜びます。褒めるよりも、認め、うまくできたことを喜ぶのが基本です。「それはよかったぁ」「嬉しくなっちゃうねぇ」という具合です。

振り返りの場面で一緒に喜べるようになるには、支援者・関係者は、個々の子どもの具体的な目標を知り、活動の最中に、それを認める関わりをします。
「○○してくれたねー」「ありがとうね」「考えていてくれたんだね」「やっているねえ」と、本人が定めた目標行動ができていることを「いいねぇ」と承認します。活動の最中に頑張っているのを知っていると伝えるのです。これをしておくと、振り返りのときの喜びを深められます。

 

 

▽【果たされなかったことに宝の山がある】
「何が果たされなかったのか」を振り返るのは難しい作業です。ここでは、大人が問題点を指摘し、教訓を垂れる反省会のような振り返りをしてはいけません。これが最低の振り返りです。

 

まず、残念がりますが、それに気づいたことを認め、本心から褒めます。「果たされなかったこと」を語るのは勇気が必要です。そして、その語りを正面からしっかりと受け止めます。そのためには、それまでに、強い信頼関係ができていなければなりません。

 

そして、宝の山を子どもの語りから引き出すには、子どもの言葉をしっかりと繰り返すことや、ときにわざととぼけて、子ども自身がより正確な言葉で、語れるように手伝います。そして、その語りを宝の山に導くのです。

 

ここで、宝の山とは何でしょうか。それは、「次に同じような機会があったとしたら、何を目指したいと思うのか。その実現のために、自分は今後何をしたいと思うのか」ということです。

果たされなかったことには、自分の次なる願いが明確に表現されているはずです。その願いこそが宝の山です。次の成長は、この宝の山を明確に意識するところから始まるのです。

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東京学芸大学教育実践研究センター編著:ミニハンドブック 『サポートが必要な子どもたちの野外活動・外出支援ハンドブック』ー不登校・PTSD・発達障害・知的障害がある子どもたちが元気になる活動と援助のためのヒントより

『サポートが必要な子どもたちの野外活動・外出支援ハンドブック』より(9)学びあいの構造を作る ―達人学校とジグゾー法―

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学びあいの構造を作る
―達人学校とジグゾー法―

▽【活動そのものはサポートしない】
野外教育活動の中で、未知の課題に、子どもが自ら挑戦し、それを成し遂げ、それを自分自身の力として自覚させる必要があります。

そのために、支援者は、子どもが活動に安心して取り組めるようにサポートすることが大切で、活動そのものをサポートすることではないのです。

支援者が子どもたちに手取り足取り教えたり、手助けたりすると、子どもたちがその活動を終えることはできます。活動が目指す目標は達成できるのですが、活動を成し遂げても、自信を持てる成功体験にはならないのです。

そのような活動には、支援者の「どや顔」だけがあって、心の不調を乗り越えることに資することはできません。

 

 

▽【何を教えるのか】
では、まったく教えないのか、手伝わないのかといえば、そんなことはありません。心の不調を抱える子どもたちのキャンプでは、「達人学校」が開設されます。「火起こし」「ロープワーク」「料理」「テント組み立て」「カヌー」などなど、同時並行で特別の授業を受けます。これらの「○○の達人」は、子どもにその活動にどうしても必要なスキル、安全確保のためのスキルを教えるものです。達人は他の子どもに教える資格が得られます。

 

 

▽【達人が仲間に技量を伝える学び合いをジグゾー法で実現する】
たとえば、子どもたちは無人島に渡り、一晩を過ごし、自分たちで、テントを組み立てる時間があります。このテントは、木を組み合わせ、そこにブルーシートを巻きつけるものです。

この場面で心要になるものは、「ロープの達人」と「テント組み立て達人」です。どの場所で、どの木とどの木を組み合わせて、どのようにテントを作るのかを、「テント組み立て達人」が計画し、全員に伝えます。
そして、結び合わせるところでは、「ロープの達人」が活躍します。その結び方を他の子どもに教えるのです。

このように、テント作りで一番重要なポイントは、子どもたちが担当します。自分たちでテントを作り上げたという感覚を生むための必要最小限を相互に学び合うようにします。ジグゾーのように、各パートが活躍することで、全体ができあがります。このようにして、大人はほとんど口も手も出さずに、子どもたちだけで作り上げた達成感を味わうことができるのです。

 

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子どもの達人に指示されて動く支援者たち

 

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東京学芸大学教育実践研究センター編著:ミニハンドブック 『サポートが必要な子どもたちの野外活動・外出支援ハンドブック』ー不登校・PTSD・発達障害・知的障害がある子どもたちが元気になる活動と援助のためのヒントより

『サポートが必要な子どもたちの野外活動・外出支援ハンドブック』より(8)不快な感情に向き合う ―感情と要求の言語化―

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不快な感情に向き合う
―感情と要求の言語化―

▽【心の不調の回復では気持ちを発散させるだけでよいわけではありません】
日常的なストレスを抱えていることには、気持ちの発散も意味があります。でも、心の不調を抱えた子どもの多くは、それまでの間に、お子さんたちはさまざまな傷つきを体験しています。傷つき体験は、ストレスの発散だけでは回復が難しいのです。

 

 

▽【子どもの不快感と向き合うための基本的な姿勢】
野外教育活動では、未知なる課題に挑戦し、何らかの恐さを乗り越える課題を活動のメインとしています。未知なるものに挑戦すること、とくに恐さを伴う課題に取り組むとき、心の不調を抱える子どもは課題への抵抗や不快感を抱きます。課題に向き合うときに生じる子どもの抵抗や不快な感情を、支援者がどのように受け止めるかによって、心の回復につながるか否かが分かれます。

 

 

▽【感情の言語化】
子どもの心の回復のために、不快な感情を、表情から読み取り、言葉で表現するのを手伝う必要があります。「なぜ悲しいのか」「なぜ腹が立つのか」と、事情や状況を理解しようとする前に、子どもの表情を見て、「何かいやな感じがするのかな」「恐いかな」「心配かな」「いらいらするね」「悲しいね」「つらそうな顔しているね」などと、言葉をかけながら寄り添うことを優先します。

 

 

▽【要求の言語化】
そのような感情が生じた理由が分かったら、何を願っていたのかを言葉にするのを手伝います。「○○したかった」「○○してほしくなかった」という不快感の背後に隠れている願いを探し、それを言葉にするのを手伝います。そして、「どのようにその問題を解決するのかを一緒に考える」ことは後回しにし、その感情がしめす自身の要求を明確にするのを手伝います。

 

 

▽【感情の回復を喜ぶ】
キャンパーたちは、このように不快な感情表現を促し、その不快感が消えた体験が得られるまで寄り添うように時間を過ごします。そして、不快感が消えていったときに、そのことを喜びます。

 

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2012年みどりの東北元気キャンプに参加した子どもたちのストレス症状

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東京学芸大学教育実践研究センター編著:ミニハンドブック 『サポートが必要な子どもたちの野外活動・外出支援ハンドブック』ー不登校・PTSD・発達障害・知的障害がある子どもたちが元気になる活動と援助のためのヒントより

『サポートが必要な子どもたちの野外活動・外出支援ハンドブック』より(7)選択による挑戦に必要な支援者の姿勢 -3センチの我慢-

選択による挑戦に必要な支援者の姿勢
-3センチの我慢-

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▽【選択による挑戦】
野外教育活動の魅力は、日常生活では電化製品などの文明の利器に支えられて不自由なく行えていたことが、自分の思い通りにできなくなることにあります。日常では味わえない困難な条件があちらこちらに存在しています。その困難な条件をクリアしたときに、昨日までの自分とは違う一歩伸びた自分を意識することができます。

自分の伸びを意識し、先に見えてきた自分の伸び代が分かったとき、子どもは先に向けて歩もうとする意欲と自信を得ることができます。それを保障するのが、「選択による挑戦」です。

 

▽【自分の力で挑戦して成功した経験となるために】
 自分の課題を自分の力で乗り越えた経験とするには、子どもの安全を確保しながら、子どもの挑戦を見守らねばなりません。そのために、支援者たちがコンセプトとして、合言葉にしたのは、次の言葉でした。

「ちょっと待て すぐ口出すな 手伝うな よく見 よく聞き よく考えよ」

 

▽【シャワークライミングから生まれた3センチの我慢】
シャワークライミングのときに、難所で子どもの背後から落下に備えて手を添えます。でも、子どもの身体には触れません。子どもは手がそこにあるとは知りません。子どもの身体と支援者の手の距離が3センチなのです。これが3センチの我慢です。

 

万一、子どもが滑ったら、たまたまそこに人の手があったように子どもを受け止めます。そして、そのまま動かしません。ぐっと子どもを支えて堪えます。子どもが姿勢を整えて上に向けて動き出すまで、その位置のまま、手を動かさないのです。

 

子どもが「自分で頑張った」と心の底から思えるには、手伝いは必要最小限でなければならないのです。
大きな失敗がないようにしても、できる限り、手伝わないこと、お世話をしないこととは、支援者や関係者がこのような姿勢と態度を一貫して行うということが重要なのです。

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東京学芸大学教育実践研究センター編著:ミニハンドブック 『サポートが必要な子どもたちの野外活動・外出支援ハンドブック』ー不登校・PTSD・発達障害・知的障害がある子どもたちが元気になる活動と援助のためのヒントより

『サポートが必要な子どもたちの野外活動・外出支援ハンドブック』より(6)声かけに必要なユニバーサルデザイン ―1言語・1動作・1確認―

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声かけに必要なユニバーサルデザイン
―1言語・1動作・1確認―

▽【プログラムの最初に行うアイスブレイキングで不安・緊張を解かす】
心の不調を抱えている子どもは、不安や緊張が高いことに特徴があります。多くの子どもの不安や緊張は、キャンプ場に付いたときに一番高まっています。心が不調でなくい普通の人でも、新しいことを始めることの不安と緊張は高まります。それをときほぐすための活動に、プログラムの最初に「アイスブレイキング」を設けるのが普通です。

 「アイスブレイキング」の意味は、他者を警戒し、閉ざす心を氷(アイス)と考え、その氷を壊していく(ブレイキング)ことを意味します。多くは、簡単で楽しく打ち解けあうゲームを行います。

 

▽【ユニバーサルデザインの声かけ】
「アイスブレイキング」のためのゲームに何を選ぶのかも大事ですが、グループ全員にそのゲームのルールを説明し、それを行うように誘導するインストラクションの方がもっと大事です。このインストラクションの声をかけは、そのメンバーの中で、一番、年齢の低い者、能力が低い者でも分かるようにしなければなりません。これを「ユニバーサルデザインの声かけ」と言います。

 

▽【活動を動作の連続に分解し、細かく声かけ】
声かけをユニバーサル化するには、誰もがその通りに動けるように、迷いが起きないようにしなければなりません。意欲満々の優秀な大人の小集団なら、「みんなで輪を作って手をつないでください」と大きく言っても用は済むかも知れません。でも、集団規模や集団のメンバーによっては、その指示では動きが取れないことがあります。

全員に何かをさせたいときに、誰もが迷いなくできる細かい一つ一つの動作に分解をして指示を出す必要があるのです。これがユニバーサルデザインの声かけです。

 

▽【1言語・1動作・1確認】
集団の動きを1動作の連続に分解します。それを一言の言葉にします。そして、その動作を全員実行したのかを目視で確かめます。動きができない個人がいたときには、ゆったりと待ち、軽く指示を繰り返します。そして、全員がその動作が完了したときに、「OK」「ありがとう」「いいね」「早かったね」と、肯定的なフィードバックを行います。この一連の流れを連続していくようにするのです。

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東京学芸大学教育実践研究センター編著:ミニハンドブック 『サポートが必要な子どもたちの野外活動・外出支援ハンドブック』ー不登校・PTSD・発達障害・知的障害がある子どもたちが元気になる活動と援助のためのヒントより