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『サポートが必要な子どもたちの野外活動・外出支援ハンドブック』より(5)キャンプの目的を共有するためのコンセプトを定める

未来の教科書8

キャンプの目的を共有するためのコンセプトを定める

 

▽【キャンプの目的を共有するためのコンセプトを定めるとは】
野外教育活動でキャンプを行う場合、そのキャンプで、どのような対象に、どのような体験を与えることが必要なのかを見定め、キャンプの目的を定めなければなりません。そして、そのキャンプに関わる支援者・関係者が、その目的を一言で共有できる合言葉や考えを定めて、共有する必要があります。その合言葉や考えをコンセプトと呼びます。
そのコンセプトを元にプログラムを組み立てます。そのプログラムが有効に働くように、その実現に必要となるスタッフの立ち位置、姿勢、関わりの技術や言葉かけなどを定め、共有するようにしていくのです。

 

▽【被災地の心のケアでのコンセプト-選択による挑戦】
災害は、圧倒的な自然の力によって、人知が及ばないことを思い知る体験です。「自分には力がない」と思わされる体験です。とくに、自分には世界をコントロールする力がないことが印象づけられます。

ですから、挑戦する活動を複数準備し、その中で、自分に向いている活動を選択します。その中で、その挑戦を自分の力で成し遂げた体験が必要になります。「自分の力で成功した」ことを実感させるのです。これが「選択による挑戦」というコンセプトです。それが実現できるようにキャンプのプログラムは構成されなければなりません。

 

▽【不登校の子ども向けコンセプト-学校のようなキャンプはしない】
不登校の子どもは、学校生活の中で傷ついています。したがって、学校の不快な場面とは真逆の体験を与えなければなりません。対人関係の中で安心していられて、「人っていいな」と思える体験でなければなりません。

ですから、「学校のようなキャンプはしない」ようにします。つまり、「指示は極力しない(自ら動くように環境を作る)」「お世話や教えることはできるだけしない(「それをしたい」「学びたい」と思わせる)」「みんな一緒に、と声をかけない(自然に一緒になる)」ことを原則にします。「自分には力がない」と思う子どもも多くいますから、「選択による挑戦」の考え方も底流には流れます。

しかし、一番大切にしなければならないのは、最後に、「皆一緒でいて本当に良かった」「人っていいな」と思えることを目指すことです。なぜなら、深刻化した不登校の子どもは、人との関係で傷ついている場合がほとんどだからです。ですから「人っていいな」が不登校の子どものキャンプのコンセプトになります。

不動の滝までのシャワークライミングなしに地図作りはありえません。

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東京学芸大学教育実践研究センター編著:ミニハンドブック 『サポートが必要な子どもたちの野外活動・外出支援ハンドブック』ー不登校・PTSD・発達障害・知的障害がある子どもたちが元気になる活動と援助のためのヒントより

『サポートが必要な子どもたちの野外活動・外出支援ハンドブック』より(4)安心・安全を保障する野外教育活動

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安心・安全を保障する野外教育活動

▽【野外活動、自然体験活動では安全の確保が最優先】
野外での活動は、安全の確保が何よりも重要です。屋内に比べて、さまざまな危険が伴うものだからです。危険を回避すること、危機が起きたときの対処について、対応方法を支援者・関係者が知識として持つようにします。その活動に必要な危機対応マニュアルを事前に準備し、参加者も周知することは、必要最低限の準備です。

 

▽【安全と危機対応の知識を高めて、キャンプの準備をする】
社団法人日本キャンプ協会やNPO法人自然体験活動推進協議会などキャンプの専門団体は、数多くのキャンプの安全に関わる知識の啓発活動を行っています。その各種マニュアルを入手されることを勧めます。

 

▽【心の不調の子どもにとっての野外での体験が引き起こすもの】
自然の中で活動することは、危険が伴いますから、緊張が強いられます。活動も不慣れなものが多いのですから、期待も生じますが不安も伴います。
一方で、さまざまな活動では、爆発的に楽しく感じるものもあります。ただ、楽しめるだけでよいのかと言えば、そんなことはありません。心の不調を抱いている子どもは、沸き立つような興奮を脅威に感じる場合もあるのです。

 

▽【安心できる心地よい時間の重要性】
野外での活動は、不安や緊張や興奮を味わう場です。大事なことは、これらの感情の波を整える時間を確保することです。活動と活動の間に、ゆったりできる時間を設けます。その時間は、関係者も支援者も穏やかな心持ちで、ゆったりと緊張感を緩めます。そして、どっしりと腰を落ち着けて関わるのです。
なお、子どもの心の健康は、睡眠と体調に現れます。この点での健康観察を欠かさないようにします。

 

▽【心理教育ととけあい動作法などの安心を与える技法の活用】
東日本大震災後に実施したPTSDのお子さんのためのキャンプでも、不登校のお子さんのキャンプでも、自分で不快な感情に対処する方法とリラクゼーションを心理教育として体験できるようにしました。そして、支援者は「とけあい動作法」を習得し、適宜、子どもの筋緊張を緩めて、安心を与えるような研修を事前に受けました。このような心理学の専門家の支援や、プログラムの中に計画されるに越したことはありません。

キャンプ場で支援者、保護者に向けてリラクゼーション技法「とけあい動作法」を伝えています。

 

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東京学芸大学教育実践研究センター編著:ミニハンドブック 『サポートが必要な子どもたちの野外活動・外出支援ハンドブック』ー不登校・PTSD・発達障害・知的障害がある子どもたちが元気になる活動と援助のためのヒントより

『サポートが必要な子どもたちの野外活動・外出支援ハンドブック』より(3)心の不調の回復に必要なもの

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心の不調を抱える子どもたちへの野外教育活動
― 心の不調の回復に必要なもの -

▽【心の不調の回復に必要なもの】
心の不調を抱えた子どもにとって、不安や恐れなどの不快感とは真逆の快適な環境が第一に必要です。それは、「居心地のよい安心した空間」です。その中で、「悪化した自己概念とは真逆の自己概念」を得られるようにしていきます。それが心の不調の回復に必要なことです。

 

▽【居心地のよい安心した空間とは】
次のことが満たされることが「居心地のよい安心した空間」です。
1.安心ができる空間
・不快であれ、快適であれ、支援者・関係者は、どの感情も受け止め、感情表現を促すように支援します。
・仮に間違っていても、発言の自由が保障され、尊重されます。誰からも無視や頭からの否定を受けることは厳禁です。

2.落ち着ける瞬間や場のある空間
・緊張を緩め、ゆったりとした時間を設けます。
・子どもがいたい場所にいられる時間を設けます。

3.困った時に支援してもらえること
・誰かが何かに困っていたら、誰かが助けようとします。
・どこかに問題があるときに、「他者もよく、自分もよい」解決策を、関係者や子どもたちが一緒に考えることができるようにします。

4.自分らしくいられる空間
・支援者・関係者も、子どもたちも、心から「あなたはあなたで良い」と互いに言える雰囲気がいつもあるようにします。

 

▽【自己概念を改善する機会の提供】
上記のような環境の中で、悪化した自己概念を書き換えるような体験が得られるようにすることが第二に必要なことです。

それは、悪化した自己概念とは真逆の自己概念を得られるような体験が得られるように準備し、工夫し、支援することです。

つまり、
「自分は自分でよい」

「自分は役に立つ人だ」

「自分には価値がある」

「自分は愛されている」
「自分は認められている」

「自分にはできることがある」
そのように心の底から思えるような体験を与える工夫をするのです。

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東京学芸大学教育実践研究センター編著:ミニハンドブック 『サポートが必要な子どもたちの野外活動・外出支援ハンドブック』ー不登校・PTSD・発達障害・知的障害がある子どもたちが元気になる活動と援助のためのヒントより

『サポートが必要な子どもたちの野外活動・外出支援ハンドブック』より(2)心の不調とは

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心の不調を抱える子どもたちへの野外教育活動
― 心の不調とは -

▽【心の不調とは】
心の不調とは、ほとんどの場合、不安や恐怖などの不快感を強く感じていることに原因があります。その「不安や恐怖のために、したいと思っていることが思い通りにできない」ことを心理的な課題と呼びます。これは、PTSDでも、不登校の問題でも同じです。

▽【心の不調に共通すること】
過去にあまりに辛く、恐い体験をすると、何でもないことに恐怖を感じて、思わずその場では適切ではない振る舞いをさまざまにしてしまうことをPTSD(外傷後ストレス障害)と呼びます。
「学校に行きたい」あるいは「学校に行かなくてはいけない」と考えている学校に「登校できない」「登校しない」状態になるのが不登校です。いずれも、「したいと思っていることが思い通りにできない」という点で共通です。
これ以外の神経症状と呼ばれるもののほとんども、「したいと思っていることが思い通りにできない」という点で共通しています。

 

▽【心の不調が続くことが自己概念を悪化させます】
そのようなことが続くと、自信を失います。自分のことを自分でどう思うのかを「自己概念」と呼びますが、自己概念が悪化します。 つまり、次のような考えが頭を占めます。

「自分はダメだ」

「自分は役に立たない」
「自分には価値がない」

「自分は愛されていない」
「自分は認められていない」

「自分は何をしてもダメだ」

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東京学芸大学教育実践研究センター編著:ミニハンドブック 『サポートが必要な子どもたちの野外活動・外出支援ハンドブック』ー不登校・PTSD・発達障害・知的障害がある子どもたちが元気になる活動と援助のためのヒントより

『サポートが必要な子どもたちの野外活動・外出支援ハンドブック』より(1)まえがき

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東京学芸大学教育実践研究センター編著:ミニハンドブックで、みどりの東北元気キャンプの手法が、コンパクトな形でまとめられました。

本キャンプに関わる内容を抜粋して紹介いたします。現物の冊子は、関係教育機関に配布されるものです。一般の方は残部があればお分けできるかと思いますが、FACEBOOKで紹介したところ、引き合いが多くありそうです。そこで、不登校とPTSD関連部分を転載いたします。。

========はじめに======

このミニハンドブックは、サポートが必要な子どもたちの野外活動・外出支援のヒントとなるように作られたものです。サポートが必要な子どもたちとは、不登校や災害などPTSDなどの心の不調、すなわち、心理的課題を抱える場合や,発達障害・知的障害のある子どもたちのことです。野外教育活動で、それらの子どもたちが元気になるように、どのような活動や援助が必要になるのでしょうか?その方法の具体的な手立てのヒントとなればと願っています。
不登校の問題の解消のために、各地の適応指導教室の多くでは、キャンプなどの野外教育活動や、体験活動がプログラムに組み込まれています。また、東日本大震災の後で、子どもを元気にするために数多くの野外教育活動や余暇活動が持たれました。しかし、災害などで心に傷を負った子どものための活動や、不登校の子どもの活動は、ただストレスを発散させ、楽しませれば良いというものでもありません。

では、心の不調の解消を目指す野外教育活動はどのように行うのでしょうか?それらの子どもたちに関わる教育者や支援者は、具体的に何を配慮し、どのような工夫が必要なのでしょうか?

一方、障害のある子どもたちの社会への自立について考えるときには、就労、就業が注目されがちです。でも、豊かな人生は、職業やキャリアだけで成り立っているのではありません。人生の中で楽しむ時間を過ごすこと、つまり余暇活動も豊かでなければならないはずです。自ら楽しむ余暇を求め、多くの親しめる人々と関わり、その関わりの中で豊かな体験が得られるような人生を送ってほしいと思います。

そのために、近年の特別支援教育では、余暇活動に親しみ、人生にわたって豊かな活動を得られるように、「余暇支援」を行うことが求められています。そのための配慮や工夫は、どのようなことが必要なのでしょうか?
このミニハンドブックが、そのようなことへの答えの一つとなればと考えて編纂されました。豊かで充実した人生になるように、野外活動や余暇支援の質が向上することの手助けとなれば、これ以上の喜びはありません。

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東京学芸大学教育実践研究センター編著:ミニハンドブック 『サポートが必要な子どもたちの野外活動・外出支援ハンドブック』ー不登校・PTSD・発達障害・知的障害がある子どもたちが元気になる活動と援助のためのヒントより